アメリカでも、「時間の使い方」は論議の対象であり、そのことに関する著作がたくさんある。翻訳書も決して少なくはない。しかし、それらのアメリカ人の著作はいずれも、ファイルをいかに整理するかとか、会議はいかに効果的にやるか、という物理的な作業のことにばかり集中していて、主観的な、心理的な時間の使い方はほとんど無視されてしまっている。
人生は長ければよいということではなく、それだけの値打ちがあったかどうかという自分自身の評価の方が大切である。それと同じように、時間も効率的に使えばよいというものではなく、それだけの値打ちのあった使い方であったかどうかという評価が必要である。
目標があって、そこへ到達した瞬間に人生は終わりというのでは困るから、目標が達成されたら、また次の目標に向かって挑戦する段取りが必要になる。その場合の自分の位置は、幾山河越えてきたという感じではなくて、常に新しい振り出しにいるという姿勢でなければならない。「初心忘るべからず」という先人の遺訓はこうした姿勢をとることが素敵な人生を送るための心構えであることを教えているのである。
初心にかえるということは「経験」に毒されないということでもある。時間の経過によって鮮度を失わないということでもある。つまり時間を上手に使うあらゆるテクニックの中には「時間に汚染されない鮮度の保ち方」という高度の技術も含まれているのである。
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