招待されて私も、一、二度その家へ行ったことがある。なるほど東京のド真ん中では味わえない雰囲気だから、こういうところに住みたくなる気持ちはわからないではない。しかし私なら仕事本位のスケジュールを組むから、住居は仕事場の近くにつくり、どうしても郊外の生活をやりたい場合は、別荘を建てて週末にそちらへ行って羽根をのばす。
こういうスケジュールの組み方は大都会で多忙な生活を送っている人によく見られるライフ・スタイルで、珍しいものでも何でもない。
しかし、本人は別荘を持つほどの経済的余裕にはめぐまれていない。別荘ほど距離の離れたところに居宅を構えれば当然、少し夜が遅くなると帰れなくなるし、夜が遅くならなくとも、帰りたくないなあ、と思った晩は、ついビジネスホテルなどに泊まってしまう。
しまいには週に半分くらいがホテル住まいになり、家を郊外に持っているというだけで、実質は東京住まいにまた逆戻りしてしまった。
「ホテル住まいをするくらいなら、ワンルーム・マンションでも買おうかな」
と、この頃では、また別のソロバンをはじいているが、私なら仕事場の近くにマンションを買うか、借りるかして、そこに住み、別荘などはつくらない。別荘を建てるためにかかる資金と、それを維持するための費用のことを考えたら、どこでも好きな保養地に行ってお金を払ってリゾート・ホテルに泊まった方がずっと変化もあり経済的ににもトクだからである。
経営者のはしくれに名を連ね、出退勤の時間は自分の裁量に任せられるようになったとしても、責任の地位にある以上、仕事場から遠くに住むべきではない。人間は必ず年をとるし、年をとれば、いつかは仕事をやめるチャンスは必ずくるから、遊んで暮らすヒマがないといって心配するに及ばないのである。
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