"次はここだよ"新興国投資術-戸松信博

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第5回
人民元はもっと切り上がる

2005年7月21日、中国人民銀行はこれまで実質的に
米ドルにペッグしていた人民元の為替制度を廃止して、
複数の通貨を組み合わせた通貨バスケットに連動する、
通貨バスケット制度を参考にした
管理フロート制度に移行すると発表しました。
また、同時に1米ドル=8.27元で固定されていた人民元レートを
1米ドル=8.11元として、
実質2.1%の切り上げを実施しました。
もっとも、この通貨バスケットの中身は
発表されておりませんから、
ブラックボックスといえばそうなのですが、
ともあれ、固定相場制から管理変動相場制へ移行されたのです。

ちなみにその後の人民元は米ドルに対して
ゆっくりと切り下げを続けており、
現在の相場は1米ドル=7.62元となっています。
8.27元のころと比べると8%近い切り上げになっています。
しかし、大きく過去に遡って
1981年の人民元レートを改めて見直してみると
1米ドル=1.53元となっており、
ほぼ1米ドル=1人民元に近いレートだったわけです。

それが、中国の景気が悪いからと言うことで、
輸出競争力を高めるために、
中国は人民元の切り下げを続けてきました。
そして、この時にあおりを受けたのが東南アジア諸国です。
人民元の切り下げによって、
輸出競争力を中国に奪われる形になってしまい、
空洞化してしまったのです。
その間隙をヘッジファンドに狙われて
通貨を空売りされて起こったのが
1997年7月に勃発したアジア通貨危機です。

そしてこのアジア通貨危機以降、
中国は長らく実質上の米ドルペッグ制を維持してきました。
つまり、中国は、ある意味不当に
安価なレートをそのまま保っていると言えます。
もちろんだからこそ、
強力な輸出競争力で世界の工場たる立場を確立出来たわけですが、
それが外圧によってようやく切り上げが始まりました。
しかし、1981年の1米ドル=1.53元が
13年で1米ドル=8.72元になったのと比べると、
2年たっても8%しか切り上がっていないわけですから、
単純に考えても2倍、3倍と、
まだまだ切り上がる余地が残っている
と言えるのではないでしょうか。

 
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2007年6月26日(火)

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