"次はここだよ"新興国投資術-戸松信博

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第6回
人民元に支えられる中国株

人民元の切り上げが続くとなれば、
確かに輸出競争力はなくなります。
実際のところ、中国はかつて輸出競争力を拡大するために
人民元を切り下げた経緯があるわけですし、
人民元が切り上がれば、生産コストの上昇を招きます。

では、今後中国の輸出競争力がなくなって
成長力が鈍化するかと言えば、
必ずしもそうではありません。
もちろん、人民元高は
輸出競争力の縮小につながることは間違いありませんし、
一気に元高になれば、
企業が対応しきれずに不況の波が押し寄せてきます。
しかし、中国はゆっくりゆっくりと
人民元を切り上げていますので、
輸出企業に大きな影響を与えるほどの
元高到来の実感が出るまでにはまだまだ時間がかかりますので、
その間に企業側でも努力をする時間が与えられているわけです。
また、中国の場合は別の要因もあります。

以前に深センB株上場の国際コンテナに訪問したときに、
担当者が、人民元高は確かに悪影響を及ぼすけれども、
ライバル企業もほとんどが中国で生産しているから、
我が社だけが悪影響を受けるわけでなく、
ライバル企業も一緒に影響を受けるので、
業績に深刻な影響がすぐにはでないだろう
というようなことを言っていました。
ともあれ、13年で6分の1程度にした元安を
ゆっくりゆっくりと時間をかけて元高に戻しているわけですから、
基本的にはしばらくの間、
中国の輸出競争力を保つレベルでの
元の(安い)水準は続くと思いますし、
中国の世界の工場としての立場は維持され続けるでしょう。

下図は中国の貿易収支をグラフにしたものですが、
WTOに加盟した2001年移行、
貿易黒字が急激に伸びていることがわかります。

中国貿易収支

そして、このままいけば、
中国の貿易収支は物凄い勢いで伸び続けることは
火を見るより明らかで、
そうなれば中国国内に
お金が溢れかえるのは容易に想像がつきます。
このために起こっているのが
現在の中国株の上昇であるわけですが、
人民元高が極端なレベルで進まない限り、
基本的な構図は崩れないわけです。
したがって、しばらくの間、
もちろん短期的な調整は起こるとしても、
中長期的には上昇はさらに続くのではないかと思います。

 
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2007年6月28日(木)

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