"次はここだよ"新興国投資術-戸松信博

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第39回
世紀陽光

先日、企業訪問をしてきた企業の中で、
世紀陽光に関しては関心を持たれている方が多いようですので、
このコラムでも若干触れておきたいと思います。

同社は中国の有機肥料の大手メーカーですが、
生産キャパを従来の2倍以上に広げる新工場が
環境不適応基準とされて営業できなくなりました。
これを受けて株価は暴落。
現在は1HKドルを割る水準での推移が続いています。

今回の会社訪問では
沈チーフ・オペレーティング・オフィサー(COO)
と面談しました。
世紀陽光は16時半のアポと遅くから始まりましたが、
沈COOと7時前までミーティングできました。

沈COOは自信に満ち溢れている印象で、
自社の置かれている環境に大きな希望を持っている様子。
プレゼンが上手な人で、
時間をオーバーして夕方遅くまでいろいろと話してくれて
有難かったのですが、
いささか話が良い事づくめな印象もあり、
値段や市場シェアのことでこちらが突っ込むと
若干さっき言ったことを下方修正することもあったりと、
少し割り引いて聞かないといけない所はあったかもしれません。

で、結局この工場、
どうして環境不適応基準とされたかというと、
実は用地のすぐ前に食品工場が2つあり、
世紀陽光の新工場から吐き出される廃棄物に対して
特に神経質なチェックが入ったことが原因です。
2年以内に再開される目処もなく、
現在は倉庫として使っているのが現状です。

食品工場が前にあることは
土地を買う時からわかっていたことであり、
いささか調査不十分なプロジェクト進行で
お粗末といわざるを得ない失敗ですよね。
そして、多分、
この工場の営業が再認可される可能性は
非常に低いように思えます。

しかしながら不幸中の幸いにも、
この場所は福建省の代表的な工業団地となり、
近くに高速鉄道も通って
回りの土地の値段は2倍ほどになっています。
ロジスティックセンターとして使いたい企業は
容易に見つけられると思うとのことで、
売却すれば損失は回避できる可能性が高いものです。

ということで、結局工場はダメだった訳です。
しかし致命傷は受けなかったという感じでした。
じゃあ、今後はどうなのか?
というと
これも見通しは悪くないのではないかと思います。
理由は失敗した新工場を穴埋めすべく、
新たな拡大案が始まるに違いないと思われることと、
それを実現可能とする豊富な資金を有している点です。
しかし、短期的には中国株の株高には乗りにくいし、
上昇するまでの待ち時間が
どのくらいになるか分からないのが難点です。

 
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2007年10月23日(火)

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