"次はここだよ"新興国投資術-戸松信博

新興国投資の最新事情を、現場直送
出来たてほやほやのままお届けします!

第50回
湾岸単一通貨構想

ドバイ株の石田さんとお話ししていて、
12月12日に湾岸諸国による通貨カンファレンスがあり、
そこで米ドルペッグ解除の協議がされる可能性がある
というお話しがありました。

現在、湾岸諸国の通貨は基本的にドルペッグです。
しかし、そのドルが下がっていますので、
湾岸諸国の通貨も一緒に連れ安しています。
湾岸諸国は地理的にもユーロ圏とのつながりもありますので、
この影響はかなり大きなものとなっています。

たとえば、UAEの通貨であるディルハムと
ユーロの推移を見てみると、
2001年には1ユーロ=3ディルハムぐらいだったものが、
現在1ユーロ=5.4ディルハムです。
これは輸入品価格上昇につながり、
インフレの一因となっています。

しかも、米国が金利を下げていくので、
一緒になって金利を下げなくてはいけませんが、
直近の原油高も手伝って
中東はいよいよ景気過熱、
インフレ局面を迎えておりますから、
本来ですと金利を上げなくてはいけないところで
それに対応できずにいます。
といって簡単にドルペッグを外すことができるわけでもなく、
外すには大きな痛みも伴います。
湾岸諸国は安全保障面において米国に依存しています。
湾岸諸国のドルペッグ外しは
ドル崩落の引き金となりかねないだけに、
米国に対して多大な代償が必要になったり、
湾岸諸国が抱えている外貨準備高の
大きな部分を占めるドルが
大きく目減りしてしまうなどの損害が生じます。

ということで、
簡単にはドルペッグ解除はできないところですが、
ここまで話しがきているということはよほどの事で、
いよいよ現実味が増して来ていると言えるでしょうか。
仮にドルペッグが外れれば
ディルハムはドルに対して
切り上がっていくことは間違いありませんし、
なにより、湾岸通貨の統合が視野に入ってきます。
いずれにしてもドバイ株にとって
面白い局面となってきているのではないかと思います。

 
←前回記事へ

2007年11月29日(木)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ