"次はここだよ"新興国投資術-戸松信博

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第55回
ドバイの脱石油戦略は急転換ではない

ドバイに関するイメージとして、
石油枯渇が懸念されてきたから、
近年になって急いで金融特区を作るなど、
脱石油戦略への急転換を図っているという見方があります。

しかし、
そもそもドバイでの産油都市としての歴史は1966年からと、
その他の産油国に比べると意外に浅いものとなっています。
もちろん、クリークという天然港を活かした商業都市として、
その他の湾岸地域の産油による
恩恵を受けたことは間違いありません。
しかし、ドバイ近代化の父であり、
第8代首長であったシェイク・ラーシッドは、
石油による富は、
飽くまでも一時的なものだとの考えを
就任当時(1900年代半ば)より持ち、
強力なリーダーシップで
積極的に貿易都市としての開発を展開してきました。

具体的には、石油が出る前の、
つまりドバイにお金が無いときから、
資金を世界中からかき集めて港湾の大規模な整備を行い、
近代のドバイの商業発展地域としての基盤を築き、
石油に収入が入るようになってからは
それを一層大規模に加速させて現在のドバイの基礎を築きました。

現在のドバイの発展は
彼の先見性と強力なリーダーシップによるものだと言っても
過言ではないでしょう。
そしてラーシッドの子息である
第9代首長のシェイク・マクトゥーム、
第10代首長のシェイク・モハメッドがその意志を次いで、
さらなる発展戦略を推し進めています。

つまり、
ドバイの脱・石油戦略は急造のものではなく、
もともと歴史的な経緯から来ているものであって、
それが昨今の石油価格の急騰で
花開きつつあるということでしょう。
短期的な調整はあるとしても、
長期的なトレンドとして石油価格が強い推移を辿ると仮定すれば、
中東の随一の商業都市・金融都市であるドバイの発展は
可能性が高いものであるように感じますがどうでしょうね。

 
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2007年12月18日(火)

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