"次はここだよ"新興国投資術-戸松信博

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第69回
ドバイの光と影

アブダビ投資庁の元ファンドマネージャーや
中東の投資銀行のファンドマネージャー達と話して出した、
私なりの結論は、まだドバイ株は買いということです。
少なくともあと1〜2年は上昇が続くのではないか
という認識を持っていた方が多かったように思います。

彼らの投資スタンスは真っ当です。
割安な物は買い、
割高な物は売りということです。
ドバイやアブダビの不動産会社や
銀行のPERはまだ割高と呼べるような水準にはなく、
少なくとも割高と思えるような水準までは、
上昇をしてもおかしくないと。
ドバイを見てみると、
潤沢なオイルマネーを背景に
公共事業的に2015年まで急開発が進みます。
そして、ブルジュドバイが未完成なように、
そして、視察してきた感じでは
まだまだ広大な未開発地が残されているように、
開発はようやくスタートしたところという印象で、
2015年まで開発は続きます。
とすると、
少なくともしばらくは無難に成長していくのではないでしょうか。

06年初頭に中東の株式市場は暴落となりましたが、
当時は株式市場全体のPERが
40倍にも50倍にもなっていたことに加え、
政府がバブルを警戒し、
景気引き締め策を発表したことが引き金になり暴落しました。
現在はそのような環境にはありません。

無論、
原油価格が長期トレンドとして
下落転換するようなことになれば別ですが
(その可能性もなくはないですが)。
ちなみに、
中東は外国からの資金がほとんどはいってきていません。
したがって、
主にGCC内部の資金での取引が相場の動きを左右します。
ですから、
それほど米国のサブプライム問題の影響は
受けにくい側面があります。

ということで、
有望なドバイ株だと思うのですが、
その一方でドバイ自体に影の部分があるのも否定できません。
ドバイの開発は一言で言えば、
筋肉増強剤を使った急開発という感じです。
乱暴に言えば、砂漠の何にもないところに、
ドーンと大きな道路を通して、
ドーンとでっかいビルを建てちゃいました!ってな感じです。
行ってみると、
本当にドーピングのしすぎで
体に痛みが出ているところを随所に感じます。

たとえば、ショッピングセンターでは
タクシー待ちの行列2時間とかは結構ザラで、
とにかくタクシーが死ぬほど捕まらないし
(泊まっているホテルからは大丈夫ですが、
外出先で捕まえるのが時間がかかる)、
大通りを渡ろうにも横断歩道もなければ鉄橋もないので、
目の前にあるビルに行くのに
タクシーに乗って大きく迂回しなければならない
という事がよくあります。
また、ホテルやレストランのサービスも充分とは言えません。
ですから、滞在するのが結構苦痛に感じることがありました。

強い筋肉ばっかりついて、
柔軟な筋肉が育っていないので、
バランスが取れて無くて小回りが効かないというか・・・。
むろん、良い意味に取れば、
そういうところにも開発余地があるとも取れますが・・・。
まぁ、どこもそうですが、
光と影の両面があって、
それを全て加味して投資対象と考えたときにどうなのか?
というところですが。

ドバイを直接視察してきた印象からすると、
現段階で、
ドバイに実際に住むのはかなり疲れそうだし、嫌だけど、
数年先でバランスが取れるようになるかどうかは分からない。
しかし、株式投資という面を考えれば、
今のところ面白い投資対象なのではないかと、
私は思うのですが、どうでしょうね。

 
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2008年2月5日(火)

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