"次はここだよ"新興国投資術-戸松信博

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第84回
株価変動幅の縮小!

今日はハノイのホテルで原稿を書いています。
ベトナム株の方は株価変動幅の縮小が発表されたり、
3月の消費者物価指数の伸び率が予想を上回る数値だったりと、
厳しい状況が続いていますね。
企業も業績予想を下方修正する企業がぼちぼち出ています。

ただ、下記にもありますが、
投資が利益の大きな部分を占める企業は
とんでもないことになりそうですが、
依然、収益見通しを下げない企業も多くありますし、
本業を真面目にやっている会社は傷も浅いので、
そのあたりの差が08年は大きく出るのではないかと思います。

さて、SSI証券のナム副社長などとも話しましたが、
この下げ相場の中で誰が売っているのかという話しです。
発表されている数値を見ると、
外国人は下げ相場の中で基本的には買い越しています。
一方で、国内外の投資ファンドというくくりでみると
どうかというと、
こちらは買いの余力はないものの
(既に株を買ってしまっていて資金がほとんど無い)、
売っている様子はありません。
長期投資が主眼ですので、
売ることは自殺行為につながってきてしまいます。

では、誰が売っているのかということですが、
やはり、主にベトナムの個人と法人と言うことになるでしょうか。
ベトナムの企業も中国の本土企業と同じように投資による利益が
業績の大きな部分を占めるようになっている企業も
少なくありません。

これらの企業は
08年の業績を維持するためにも
ある程度株を売っておく必要があるのですが、
暴落していると言っても06年以前から考えると、
株価はかなり上昇していますので、
まだまだ利益が出る水準にある持ち株も多いわけです。

しかしいずれにしても
投資が利益の大きな部分を占めてきた企業については、
08年の決算は予想外の悪い数字になるのではないでしょうか。
むろん、
銀行の証券融資で担保割れしたものを
強制的に売りに出ているものもあるでしょう。
ただ、最近は証券融資自体がかなり引き締められているので、
過剰な融資というのはされていないようですが。

あとは個人投資家です。
先日、とある上場株を市場の半値ぐらいで
100万株売りが出ているので買わないか?
という電話がブローカーからいきなり入ってきました。

それぐらいの売りと言うことは、
何かインサイダーで悪い情報が出たのでないか
ということが勘ぐられますが、
その上場企業の社長に電話してみると
(たまたまコネクションがあったので)、
そのような悪い事実はないと確認できました。
で、すぐにじゃあ買いますと電話をすると
「もう売れてしまった」との返事。

この会社に恨みのある人が悪い噂を出すためにやっているのか、
相場全体をなんらかの目的で
引き下げるためにやっているのかわかりませんが、
ベトナムではこれらのことはよくあることで、
しかもそれが株価に本当に影響してしまうのです。

今回のようにコネクションがあったりして
内容を確認できるならいいですけど、
こういうブローカーからの電話があったりして、
こういうのが裏の噂として流れていたりしますので
個人投資家としては不安になりますよね。
まぁ、そのあたりは本質的な問題ではないので、
反転するときも早いのですが。
ともあれ、
ベトナム株の回復にはもう少し時間がかかりそうです。

 
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2008年3月27日(木)

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