"次はここだよ"新興国投資術-戸松信博

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第86回
実は有望だということがわかりました

前回の続きです。
「えー!? こんなド田舎の土地を誰が買うの!?」
と落胆させられた開発プロジェクトですが、
同社の取締役の方と同行していったのですが、
現地を前にしてなお、
この物件には不動産業者から
一括で買わせてくれとの引き合いが多数有るとの自信顔。
でもとても目の前の光景からは、にわかには信じられません。
当たり前ですが、
経営陣は自分の会社のことを良く言うのが当たり前だから、
常に発言は疑ってかかったほうがいいのです。

ということで、
ハノイの事務所に戻ってから、
まずは知り合いの不動産会社何軒かに、
このプロジェクトの周辺の土地を、
もしも単純に土地取引として
買うのなら幾らだったら買っても損しないかを聞きました。
(むろん、今回の株の件はふせたままです)
するといくつかのことがわかりました。

まず1つは経営陣の言っていたとおり、
このプロジェクトの前面道路は
大きな国道へと道幅が拡張・舗装され、
完成すればハノイの中心部から
一直線で10〜15分でこられるようになることが分かりました。

さらに、実はこの住宅地の後面にある道路も
ハノイの中心部から
一直線で来られる大型道路が出来ることが既に決まっていて、
こちらも完成すれば一直線で
10〜15分でこられるようになります。

また、当該プロジェクトの土地は、
現在はハノイの土地ではなく、
別の省の土地なのですが、
既に近い将来ハノイが拡張するにあたり、
ハノイの土地となることが分かりました。

そしてこれらのことを
不動産業者や土地に詳しい投資家はよくわかっているので、
(まだ土地価格は安いので)購入希望者はかなりいるとのこと。
日本で言えば東京の私鉄沿線の土地が
開発されていったような状況に似ている感じでしょうか。

実際にこのあと、
これらのことを聞いた不動産会社とは違う
不動産会社の店舗を訪れましたが、
このプロジェクトよりも
ハノイから遠いところの不動産物件があったのですが、
完売になっていて、
その地域の需要自体はあることが確かめられました。

そして、業者の話から
このプロジェクトの純粋な土地価格を試算しました。
一般的に一戸建てプロジェクトの場合、
プロジェクト総面積のうち販売出来るのは30〜50%ですから、
堅く、プロジェクトの総面積の
30%が販売できることと仮定しました。
また、不動産会社から聞いた
1平米1500万ドンなら割安という意見から、
ハノイの不動産価格はホーチミンとは異なり、
昨年末から下がってはいませんが、
横ばいになっているので、
最悪のケースで、
今後下がる可能性も加味して1平米1000万ドンで計算してみます。
すると、このプロジェクト1つの土地価格だけで軽く、
同社の時価総額以上になるのです。

さらに、同社のバランスシートを詳しく調べてみると、
同社の自己資本と総資本の差額(つまり他人資本)の部分が
銀行からの借り入れか何かだとずっと思っていたのですが、
実はこれは既に販売した物件のお客様からの
預かり金であることが分かりました。
つまり、現在のバランスシートは非常に強力で、
しかもそれなりに08年の売上見通しが立っていることになります。

そこまで確認してようやく、
この上場会社は今の株価なら買いだという判断に至ったのです。
PER3倍と、ベトナム株の中でも突出した割安さなので、
08年の業績が出る頃には結構、
面白いことになっているのではないかと思います。

 
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2008年4月3日(木)

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