"次はここだよ"新興国投資術-戸松信博

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第88回
万科企業も好決算発表

万科企業を一言で言い表せば、
豊富な資金に物を言わせ、
目を見張るような住宅開発を加速している企業です。

そのスピードは自己資金の範囲を大きく超え、
レバレッジをかけて積極的な開発を行っています。
今が勝負時というような感じで全力投球している様子です。

売上と利益は年を追うごとに成長が加速しています。
資産も同じだけ増大していますので、
お金をかけて資産を増やした分だけ
売上が増えている当然の結果です。

総資産のうち95%以上が流動資産となっていますが、
これは開発途中の物件在庫が大きく占めているものです。
たくさん開発し、翌年にそれが売上となり、
またそれを繰り返すサイクルですが、
ここ2年のペースが加速しています。

これだけ開発物件を多く抱えると
お金が先に必要となりますので、
運転資金の増加が膨大となって資金がショートします。
結果として会計上の決算では大幅増益ですが、
キャッシュフローベースではマイナスとなり、
お金が不足します。

営業キャッシュフローは開発が急増した06年から
大きくマイナスとなっていますので、
足らないお金を補うのに
増資、銀行融資とあらゆる手段で資金を調達し、
開発に回すことを急いでいます。

ある年に、完成済みもまだ売っていない物件(在庫)と、
開発途中の物件が流動資産として計上されます。
翌年にそれらから売上に回る分が、
「販売コスト」として表れてきます。

05年までは大体その年に売った分と、
開発在庫が同じだけでしたので、
売って回収したお金を再投資して
翌年以降の売上となるような開発ペースでした。

しかし‘06年以降は、
回収した金額の2〜3倍もの新規開発を行っていますので、
その差額が資金ショートとなり、
営業キャッシュフローのマイナスの最大要因となるのです。


<次回に続く>

 
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2008年4月10日(木)

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