"次はここだよ"新興国投資術-戸松信博

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第89回
毎年何千万人も農村部から都市部へ流れ込む

前回の続きですが、万科企業は、
06年以降、販売して実際にお客様から入金されてきた金額の
2〜3倍もの新規開発を行っていますので、
その差額分だけ現金が不足となります。
つまり、営業キャッシュフローのマイナスがおこるわけです。
現金がなくなるわけですから、
このまま何もしなければ、そのまま倒産です。

日本の不動産企業で、
毎年見た目の決算数字は増収増益の黒字決算を上げていたのに、
突然破綻した上場企業が最近ありました。
これは前述のような感じで
収入以上の開発(不動産の取得)をすすめていたのですが、
これは不動産価格や株価が上昇している時期はいいのです。
しかし、市況が悪化して不良在庫が溜まり、
資金流入がなくなって不足金を補おうにも
銀行が貸してくれなかったり、
増資をしようにも株価が暴落していて調達できないと、
現金がショートしてしまい、
黒字なのに、突然破綻してしまうということが起こるわけです。

万科企業の場合も、
現金が足らない分を銀行融資と
株式市場からの調達(財務によるキャッシュフロー)で
帳尻を合わせています。
このため、バランスシート上では負債が増え、
自己資本比率は34%に、
借入の比率を計るギアリングレシオは68%と
負債の比率が高まっています。
銀行に対する利払い額だけで13.7億人民元(約200億円)と、
売上の4%にも及び、
また全人件費に匹敵するような金額です。

したがってリスクが無いとは言い切れません。
たとえば、政府が不動産価格が上昇しないように、
引き締め政策を行ったりすると株価が大きく下がります。
しかしながら、日本と違って、
中国の場合は長期的なトレンドとして、
まだまだ不動産が圧倒的に供給不足の状態で、
先を急いで作ったものがどんどん売りさばけています。
供給過剰どころか毎年1000万人〜2000万人が
農村部から都市部へ流れ込んでおり、
基本的な需給関係は
長期的に逼迫状態が続いていくものと思われます。

また、
万科企業の場合は
中国トップクラスの不動産会社という信頼もあり、
最近も建設銀行と200億人民元の融資枠の設定がなされおり、
お金の蛇口は全開状態。
そちらの面でも、
今のところ少しぐらいのことで
資金がショートするような状況にはありません。
したがって
株価が大きく下がったところはチャンスだと思うのです。

 
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2008年4月15日(火)

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