"次はここだよ"新興国投資術-戸松信博

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第94回
大唐国際発電や華能国際電力

世界一の投資家、
ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイ社は、
昨年10月に、
中国一の石油採掘会社ペトロチャイナ(0857.HK)の全株式を
売却しました。
バフェット氏だけでなく、
中国経済を牽引するこうした石油や
電力などのエネルギー会社に投資することは
中国株投資の王道とされてきました。

実際ペトロチャイナを例にすると、
バフェット氏が購入を始めた2003年までの株価は
HK1.5位でしたが、
丁度バフェット氏が売却した昨年10月にはHK20まで達し、
時価総額で長年1位だった
米エクソン・モービル社を抜いて世界一の企業になったほどです。

しかし現在ペトロチャイナの株価は昨秋以来半値、
また売上ではペトロチャイナを上回る
もう一つの巨大石油企業シノペック(0386.HK)も
同様に低迷しています。

両社は世界の石油企業が大幅最高益を更新する一方で
利益率が下がり、利益額も殆ど伸びていません。
そればかりか損失が拡大する一方の精製部門の赤字を補うために、
政府から1000億円単位の
巨額の補助金をもらって凌いでいるほどです。

また電力会社も同様にかつては王道銘柄であったのですが、
北京を中心に発電所を持つ
大唐国際発電(0991.HK)もペトロチャイナと同様、
03年にHK1.5あたりだった株価が
昨年HK10に達したものの、
現在はほぼ半値に落ち、今期は減益が予想されています。

最大手の華能国際電力(0902.HK)も同じような株価状況で、
こちらは先日いち早く08年第1四半期決算を発表しましたが、
なんと利益が前年同期で80%もの大幅減益となってしまいました。

指数全体が高値から半値になっていますので
不思議なことではないかもしれませんが、
それにしてもかつての王道銘柄までもが
同じように下落しているのは、
利益の低迷や大幅減益見通しが原因となっています。
背景としては、
足元8%で進む中国のインフレと
資源高が同時進行していることがあります。

格差社会が問題化する中国では、
インフレが庶民の生活を苦しめる中で、
ガソリンや電力という基本的な生活コストを上げることができず、
政府により低く価格統制が行われているのです。


<次回に続く>

 
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2008年5月1日(木)

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