"次はここだよ"新興国投資術-戸松信博

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第97回
プラットフォームを制するナンバーワン企業

アリババ・ドット・コム(1688)は、
1999年の創立以来、
中国と世界の企業間商取引をネット上で繋ぎ合わせる
プラットフォームを順調に拡大し、
07年11月の上場前は
「最も有名な中国本土の未上場ネット企業」といわれてきました。
現在200カ国で2460万人のバイヤー登録者数を擁し、
一日に30万以上のサイト訪問者数を持ちます。

ビジネスモデルは楽天市場モールのB2B版というようなもので、
売り手であるサプライヤーと買い手であるバイヤー企業を登録、
両者をマッチングさせる「仮想商店」を
ネット上に提供することで、
サプライヤーからフィーを得ます。

仮想市場は2つあり、
国際貿易市場と中国国内取引ですが、
売上の7割は国際市場に登録する中国企業からきます。
これらの会社は長江デルタ地域などの中小輸出業者が多く、
1社あたり年間4〜6万人民元の「出店料」が
アリババ・ドット・コムの収入になるわけです。

いわば「世界の工場」と
世界のバイヤーをネット上で
商談の機会を与えるビジネスモデルは、
自社製品を輸出したいが
コネクションのない中国中小企業にとっても、
また中国製品でコストダウンを計りたいが
どこにコンタクトしてよいか分からないバイヤー双方にとって
ニーズが増えています。

その証拠にインターネット調査会社によると、
世界で最も多くのページビュー数を持つ「eコマース」と
「国際ビジネス」の2つの分野でのトップが
アリババ・ドット・コムになっています。

これはプラットフォームのビジネスであり、
多くの人が集まり「標準化」されるほど、
より多くのサプライヤーとバイヤーにとって
魅力が増すのが特徴で、
ナンバーワンであることが
今後さらに有利に働きます。
(マイクロソフトのウィンドウズがそうだったように)

インターネットとブロードバンドの普及が
アリババ・ドット・コムの業績に一役買っていますが、
さらにそれらが浸透していけば
プラットフォームを制するナンバーワン企業として、
今後独占に近くなると予想できます。


<次回に続く>

 
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2008年5月13日(火)

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