"次はここだよ"新興国投資術-戸松信博

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第105回
天大石油の財務内容

さて、ここ数回に渡り見ていっている
天大石油(0839)ですが、
今回は財務内容をみてみましょう。

ここでは、引き続き
同業の山東墨龍(0568)と比較してみたいと思います。
山東墨龍との一番の違いは、
天大石油の財務内容の健全さ
(負債の少なさ)と言えるでしょうか。

天大は負債が非常に少なく株主資本が充実しています。
これに比べると山東墨龍は負債が大きくなっているわけですが、
これは一概に悪いことでもありません。
それはその分先行投資で
工場拡大や積極的な買収を行っている裏返しとも言えるからです。

そしてそのことは、
キャッシュフローで見るとより鮮明にそのことが分かります。
投資キャッシュフローを見ると、
山東墨龍が継続的かつ積極的に
事業拡大へ打って出ているのが分かります。
その分、負債が大きくなっているという形です。
流動比率(短期の負債に対する支払い能力を示す指標で、
一般的には200%以上が望ましいとされる)も113%と、
運転資金に必要な現金だけを残して
残りは投資へ充てるような形です。

また、山東墨龍の総資産回転率
(企業が総資産をどの程度効率的に活用しているかの指標で、
高ければ高いほど効率的に資産が活用されていることを示す)は
0.7倍程度に落ちており、
先行投資で先に資産が膨らみ、
まだフル稼働させていない工場設備が多いことを意味します。

これに対し、
天大の投資キャッシュフローを見ると保守的で慎重と言えます。
もちろん、その分財務の安全度は天大の方が増しますし、
株価の評価でも、
同じPERなら天大の方が、
負債が少ないだけ割安ということもできます。
天大の流動比率は248%にもなり、
負債よりも保有現金の方が多くなっています。

そして、それほど設備投資で資産を急拡大させていませんので
総資産回転率は1.15倍と効率の高いものになっています。
このように両社は拡大戦略と財務内容に違いがみられます。


<次回に続く>

 
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2008年6月10日(火)

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