"次はここだよ"新興国投資術-戸松信博

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第106回
天大石油の高級品特化戦略

前回、同業の山東墨龍(0568)と比べて
天大石油(0839)は比較的、保守的だということを書きましたが、
天大石油も何も拡大戦略を取っていないといことはなく、
2010年に年産30万トンの新工場を建設する予定です。

これは腐食や高圧に強いハイグレードな高級パイプを作る工場で、
過酷な環境への対応が求められる深海や
深い地下での掘削プロジェクトに合っています。

原油価格の上昇が止まらず、
毎日のように史上最高値更新のニュースが流れてきます。
油田の発見は石油企業にとって宝の山です。
次々と探査が進められ、
世界で稼働している油井採掘装置(リグ)は
増加の一途を辿っています。

しかしながら、
既に大油田は地上には残っていないとされています。
このため、各石油会社はメキシコ湾、ブラジル沖、
西アフリカ沖などで深海探索に力を入れているのです。
海洋油田は陸上油田に比べて採掘コストがかかりますので、
開発が遅れていましたが、
石油価格の上昇で
コストが見合うようになってきたというわけです。

山東墨龍もシームレスパイプを始め、
高付加価値商品に最近は力を入れていますが、
それに特化しているという訳ではありません。
汎用品の低中級品となると、
今後は鉄鋼メーカーなど
石油専門外のライバルも参入してくる可能性があるため、
そういった意味でも
天大石油の高級品特化戦略は将来性がありそうです。

ということで、
数回に渡り、両社を比較してきましたが、
石油採掘機器市場の将来性は国策と相まって
成長が期待できるところですし、
両社とも、世界の同業種に比べて株価に割安感があります。

山東墨龍とは商品の特化、
顧客への浸透度や設備投資、財務面に違いや特色に違いが見られ、
どちらが良いということは一概に言えません。
投資スタンスや好みによって
分かれるところではないかと思います。


<おわり>

 
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2008年6月12日(木)

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