"次はここだよ"新興国投資術-戸松信博

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第113回
この不景気に大きく業績を伸ばしている企業

今回はベトナムの話です。
ベトナムの株価ですが、
VN指数は7月4日までに10日続伸となり、
株価は反発しています。が、ベトナム経済全体は、
まだ楽観といえる状況とは遠い状況にあります。

ただ、企業訪問をしていると
ベトナム政府が強力な輸入制限を行っていることや、
食料品価格上昇に対する対策を行っていることが伝わってきます。

たとえば、あるOTCの鉄鋼会社を訪問した際のことです。
その会社は海外からくず鉄(スクラップ)を輸入して、
溶かしてビレットを作る鉄鋼会社です。
ベトナムではこのビレットを生産している企業が少なく、
多くを輸入に頼っている状況です。

このため、ビレット価格が上昇してしまい、
ビレットを原材料として最終製品を生産するメーカーは
非常に厳しい状況に立たされています。

しかしその一方で、
その会社は供給が圧倒的に足らないビレットを作っているので
上半期の業績はとんでもない増益となっていました。
なんと上半期だけで額面資本金の倍近くの利益が出ており、
仮に下半期が上半期の半分の利益だったと計算すると
現在の株価ならPER1倍前後になります。

しかもこの会社、
今度は鉄鉱石からビレットを精錬する新工場を
現在建設中で09年から稼働予定です。
むろん、鉄鉱石からの製造の方が利益率は高くなります。
このように、状況が厳しいベトナムでも
大きく業績を伸ばしている企業もあるわけです。

ところでこの会社が困っていることは
政府が輸入制限を行っているので
くず鉄が輸入できないという問題です。
もっとも鉄鋼関連などのいくつかの必需品については、
既に緩和が決定しているようですが。

ただ、こういった話を聞いていると、
8月以降、しばらくは貿易赤字と消費者物価指数は
想定以上の悪い結果にはならないように思います。

もっとも、その「想定の数字」自体が
年率25〜30%近くの異常なインフレの値であるわけですから、
良い状態に戻るまでには、
まだまだ時間がかかりそうですが・・・。

しかし、こういうときだからこそ、
この鉄鋼会社のような
有望な投資先をみつけやすい時期でもあるとも思うわけです。

 
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2008年7月8日(火)

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