"次はここだよ"新興国投資術-戸松信博

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第157回
呪われた胡潤版長者番付

中国では胡潤版富豪ランキングが話題になっています。
「胡潤」はあるイギリスの記者の中国語名なのですが、
99年から胡潤が中国富豪ランキングを発表するようになり、
以降毎年の発表するようになっています。

このランキングはかなりの影響力を持っているのですが、
現在ではある、特殊な意味で注目されているのです。
その意味とは、この数年間にランクインした富豪が
相次いで逮捕されていることです。
したがって中国では、
このランキングは別名「豚を殺すランキング」
とネットユーザーにからかわれています。
ここでは、その中の代表例を見てみましょう。

99年胡潤版富豪ランキングの第16位、
南徳グループCEO牟其中氏。
ランキングが発表された直前に、信用詐欺罪で逮捕され、
懲役18年の判決が下されました。

01年ランキング第2位、
すでに上場廃止されたユーロアジア(0932HK)の主席楊斌氏。
02年に契約詐欺などの疑いで逮捕され、
懲役18年となりました。
同年ランキングの第3位、華晨中国(1114HK)の元主席仰融氏。
経済犯罪の疑いで02年に逮捕されました。

02年ランキング第11位、
すでに上場廃止された上海地産(0067HK)、
上海商貿(1104HK)の元主席周正毅氏。
03年逮捕され、07年出獄した後、
再度懲役16年の判決が下されました。

そして、03年25位の唐万新氏、
83位の海新科龍(0921HK)元CEO顧雛軍氏、
04年31位の創維数碼(0751HK)元主席黄宏生氏、
05年86位の厳暁群氏などの富豪は
例外なくランクインされてから
数か月から1年経たないうちに逮捕されています。

06年438位の周偉彬氏は順位が低いですが、
ランクインされた2週間後に
巨額脱税の疑いですぐに逮捕されたことで、
「入選(ランクイン)」から「入獄」までの
最速記録を作りました。

さらに、04年、05年、08年ランキング1位の国美電器(0493HK)
主席黄光裕氏が08年11月に逮捕されたことで、
胡潤版ランキングの威力が最近、
改めて注目されてきているわけです。

胡潤版長者番付は呪われたみたいものだと
冗談半分で言われていますが、結局のところ、
この現象は中国の経済急成長に法的整備がおいついておらず、
利に走った一部の中国商人達が
法的未整備の間隙をつこうとした結果です。
逆に言えば中国経済が法的整備が追いつけないほどに
急成長している証しであるともいえるでしょう。




 
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2008年12月9日(火)

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