"次はここだよ"新興国投資術-戸松信博

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第172回
年夜飯

前回は春運の話しを書きましたが、今回も春節にまつわるお話を。
日本では大晦日の日に年越しそばを食べる習慣がありますが、
中国でも「除夕」という習慣があります。
これは、大晦日の夜に、
家族全員が集まって「年夜飯」を一緒に食べる習慣が共通です。
「年夜飯」はもちろん普段よりも豪勢な晩餐を意味しますが、
欠かせないのは魚です。
魚の中国語での発音は「余」と同じであり、
新しい一年で余裕があるという意味があります。

中国北部では、食事の最後
または新年の鐘が響く24時前後に必ず餃子を食べます。

これは、餃子の形が中国古代の流通貨幣「金元宝」と似ているので、
「発財」、つまりお金持ちになる、
縁起の良いものとして旧正月の習慣となったものです。
春節に食べる餃子は平日にスーパーで買った冷凍餃子ではなく、
家族がみんなで協力し手作りした餃子が一般的です。

一方、米を主食とする中国南部の人はあまり餃子を食べないので、
春節の時に「湯圓」を食べる習慣があります。
湯圓は米類を粉にして団子を作り、
中に甘い餡などを入れて茹でて食べるもの。
丸い形なので、家族団らんという意味があります。
また、湯圓にしろ餃子にしろ、
いずれも皮を作って餡を入れるもので、
中国の人々はそれらを食べることによって
新年に対する期待や祝福の気持ちを寄せているのです。

ところで近年では「年夜飯」も
レストランで普段より豪華な食事を食べたり、
テイクアウトしたりする人が増えています。

金融危機が発生して景気が落ち込み気味である今年も、
レストランでの「年夜飯」の予約は盛んであり、
大晦日夜の予約について、
企業忘年会やビジネス招待などの食事予約は減少したものの、
家庭単位の「年夜飯」予約は増加傾向が続いています。

この例にもあるように、
労働人口の増え続ける中国の消費は
金融危機があっても、衰えることなく、拡大を続けています。
実際、08年12月の中国の小売売上高は、
減速したと騒がれてはいますが、前年同月比19%増となっています。
長期的には中国消費市場をうまくとらえることができる企業には、
大きな成長の機会が広がっていると言えるでしょう。

 
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2009年1月29日(木)

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