"次はここだよ"新興国投資術-戸松信博

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第190回
緑城中国の資金繰り問題

2008年末から発表されている一連の不動産業支援策によって、
2009年に入ってから不動産取引量は回復しており、
不動産企業の売上も回復基調です。

2009年1〜2月の中国万科企業(200002CH)の販売金額は
60.8億元(約862.9億円)で、
富力地産(2777HK)は50億元(約709.6億円)を超え、
保利投資(0119HK)も33.4億元(約474億円)を売り上げました。

しかし、それに対して、
頑固に値下げをしない戦略の緑城中国(3900HK)の販売金額は
8.4億元(約119.2億円)しかありません。
2007年〜2008年、緑城中国は大規模な土地の購入を行いました。
2008年に支払った2007年分の土地購入代金は
30億元(約425.8億円)以上もあります。
2009年も2008年に購入した土地の代金を支払う必要があります。
これに加え、2008年に完成予定であった
延べ約27万平米の7つのプロジェクトが
2009年まで延期されました。

このため、2009年の建設中プロジェクトが増え、
資金繰りは非常に厳しくなっているはずです。
もっとも緑城中国は、資金繰りは厳しいものの、
破綻を招くようなものではないと反論。
そして、2009年9月までの不動産前売り金額の
130億元(約1845億円)を既に手に入れ、
銀行から200億元(約2838.5億円)の借入枠も
獲得したことを強調しました。

しかし、前売り金額は、
主に前述の土地譲渡金や買掛金の支払いに用いる計画で、
200億元の新規借り入れについては建設中プロジェクト向けで、
借金返済には使えないものです。
2008年末で緑城中国には
110億元(約1561億円)の未返済借入れがあり、
2009年には新たに50〜70億元(約710〜994億円)増加するとの
見込みもあります。

さらに、23億元(約326.4億円)の転換社債が
2010年5月に期限となります。
これらのことを考えていくと、かなり早期に、
増資や資産売却などによる資金調達及び販売資金の回収が
必要なのではないかと推測されます。

2009年の販売見通しについてですが、
市場コンセンサスを見ていると、08年は縮小する見通しですが、
09年以降、急ピッチで拡大していくと見ている
証券会社も多いようです。

他方、緑城中国の主力物件は浙江省にある。
現在、広州と深センでは不動産市場回復の兆しが現れており、
上海もその次に回復傾向が出ているものの、
杭州(浙江省の省都)と北京市場の回復は一番遅いものと予想され、
思うように販売が進まない可能性があるという
アナリストもいます。

どちらになったとしても
株価がどちらかに大きく動くことになりそうですので要注目です。


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2009年4月2日(木)

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