"次はここだよ"新興国投資術-戸松信博

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第198回
相場見通し〜ECRIの指標によると

前回の続きで相場見通しです。
前回と今回のレポートは4月27日に
有料会員向けに発信したものの一部となります。

*  *  *  *  *  *  *

7週に渡って株式市場を上昇させてきた原因を
ファンダメンタルズから言えば
「反発」ということになるでしょう。

約1年ほど前にどこよりもアメリカのリセッション入り宣言を
行った米国の私的機関、
ECRIは自らが発表する週間経済指数で景気の判定を行っています。

ちなみにECRIは前回2001-2003年時の
リセッション入りと脱出タイミングも、
著名経済誌と正反対のことを当時発表してピタリとあてています。
グリーンスパン前FRB議長も
この指標を参考にしていたということですが、
同氏に経済学を教えた教授がECRIの創設者なのです。

この景気判定指標を見る限り、
現在指数は105-110の間を推移して数値自体は
かつて経験したことがない最低レベルの景気判定となります。

しかしこれを対前年比での増減でみれば
大きく急落していたのはもはや過去のことで、
リーマンショック時前後には前年比で30%前後も
急落し続けるというかつてない歴史的急降下となりました。
ところが以後、相変わらず指数自体は最悪値で
横ばいを続けていますが、
1年前も悪い時期に入ってきましたので、
対前年比では下の右のグラフのように
11月以降下げ幅が小さくなってきています。

ECRI指数推移

このため対前年比のグラフ(赤線)でみれば
上向いているように見えます。
これが3月以降の株価上昇の心理改善を表しているのですが、
今もマイナス域であることには変わらず、
下がるスピードが緩くなってきたというのが「反発」要因です。

思ったほど悪くない、という反発が一通り終われば
次に必要なのはマイナスではなく、
本当に前年よりプラスに転じて行く必要がありますが、
それはまだ見えません。

個別でもこれは同じで、
例えばフォード自動車が前日発表した第1四半期決算は、
赤字が▼1400億円(統計値は分かりやすく
常に1ドル=100円で見る)、
当期に赤字と運転資金でなくなった現金は3700億円で、
株価は1日で11%の大幅上昇となりました。

決算数字だけ見ればとんでもない状況ですが、
それでも思ったより落下スピードはましであるので
「反発」しました。

しかしいくら予想より良くても
四半期に3700億円も燃え尽くさせていれば
そう遠くないうちに現金が空っぽになって倒産します。
(前四半期は▼7200億円の現金流出)

今後は単に落下速度がましになったということでは反発せず、
本当に必要な黒字化が株価上昇には必要です。
自動車販売台数が前年比で▼50%ダウンに近い中、
キャッシュが燃え尽くすことを止めることができるのかが
次に必要なことで、ハードルは依然高く、まだそれは見えません。


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2009年4月30日(木)

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