"次はここだよ"新興国投資術-戸松信博

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第204
山東羅欣薬業(8058)の決算レビュー4

引き続き、山東羅欣薬業(8058)のレポートをお届けまします。
山東羅欣薬業のレポートは今回が最終回です。
ちなみにこのレポートは
4月6日に有料会員向けに発信したものの一部です。
推奨時株価は2.1HKドルでした、5月18日には3.25HKドルまで、
1ヶ月足らずで約55%上昇しています。
こちらも、決算内容を早く理解していれば、
思い切って買うことが出来た好例です。

*  *  *  *  *  *  *

潤沢な現金が本業から生じているため、
有利子負債を返済しています。
これが財務キャッシュフローの
マイナスで表示されている部分となります。

ただし、これだけ現金が順調に生み出されているのに
配当が極めて乏しいことが難点です。
配当額は前年度と同額に据え置かれ、
利益額のうち配当に回ったのは僅か6.7%という
極めて低い配当性向(配当利回りは1.23%)を示しています。

投資家に還元しなかった分を
事業再投資に使うのかというとそうでもなく、
設備投資や買収費用はそれほどには多くもありません。
配当還元が少ないため、
バランスシートで利益剰余金(内部留保)が突出して
多くもなっています。

大量の現金を順調に産み出しているのは良いことですが、
それをより積極的に事業再投資して株価上昇に繋げるか、
さもなければ配当で還元するかの
どちらかを明確にすることが望まれます。

財務内容自体はさらに強固になったといえます。


(4)株価は高成長性を考えればかなりの割安に

業績は好調ながら株価は大きく下落をしました。
現金が潤沢かつ財務屈強でありながら
低PERにある銘柄は実は製薬銘柄にはなぜか多くなっています。
全体的に低PERなのですが、それでも他と比較しても
PBR以外のあらゆる角度から割安になっています。

現在株安でどの製薬銘柄も低PER水準になっているのですが、
それでも香港上場企業であれば
平均的に09年予想ベースで7倍程度です。
PERだけでなく、キャッシュフローでみたPCFRや、
負債額も加味したEV/EBITDA、
さらにDCF法で適正株価を出してみても
今の株価は明らかに割安といえます。

さらにそこに利益の成長率も加味して考えれば
より一層割安と思えます。

他の製薬銘柄は山東羅欣より高いPERなどがついている一方で、
利益の成長率で山東羅欣ほど高いところは
殆ど見当たらないからです。
同社の営業利益増加率は、昨年で31.1%増、
過去3年平均で56.6%増、4年平均で47.6%増、
5年平均で39.4%増であり、
製薬企業の中でも上位の成長率を持つことは間違いありません。


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2009年5月21日(木)

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