"次はここだよ"新興国投資術-戸松信博

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第207
東江環保(8230)の決算レビュー2

東江環保(8230)のレポートの続きです。
ちなみにこのレポートは4月9日に
有料会員向けに発信したものの一部です。

推奨ポートフォリオでは東江環保(8230)の目先の動向は
厳しいとの判断から天大石油(0839)への乗り換えをしました。
決算内容を早く理解していれば、
思い切って良い銘柄に乗り換えることが出来た好例です。
※なお、長期であれば、
東江環保(8230)も魅力はあると思います。

*  *  *  *  *  *  *

(2)財務内容は悪化

東江環保のバランスシートとキャッシュフロー推移

2007年から設備投資拡大で有利子負債が増えだし、
昨年はさらに倍増しました。
有利子負債額は3.1億元(07年は1.3億元)となった一方で、
現金が減少し、ここで初めて有利子負債が
現金残高を超えるネット・デットの財務状態となりました。

元々、安全志向が強い保守的な財務体質でしたので
まだ危険な状況になったという程ではありませんが、
利払いコストも殆どなかったのが売上の2%に迫ってきており、
財務内容はレバレッジがかかって(圧迫されて)きております。

負債が増えてもその分だけ設備が増強され、
売上と利益が力強く伸びればペイするので問題はありませんが、
上に見たように売上は鈍化し、純利益率は大きく下がりました。

キャッシュフローでも不況のせいか、
売掛債権の回収期間が伸び、
一方買掛債権は急速に縮小しましたのでその分運転資金量が増し、
利益減と合わせて営業キャッシュフローは
大きく減少してしまいました。
設備投資でお金が出て行きますので不足分を補うのに
多額の借入れが流入したものの現金は少し減ってしまいました。

同社は2007年まで保守的であり、
設備をそれほどには増強せずに好景気と環境意識の高まりで
業績を伸ばしてきました。
それが2007年後半から有利負債を使って
一気に拡大ペースを加速させたところが景気のピークでした。
設備能力や人員が増したところで
中国一の輸出地域である広東省は特に深いダメージを受け、
売上が鈍化して価格も下がってしまった様子です。

これらの設備投資は
将来景気が回復するところで活きてくると思われますが、
短期的にはタイミングが良くなく、
その効果よりも負債が増えて
現金が減った面が強調されてしまいました。
まだ建設中のプロジェクトや稼動したばかりの工場もあり、
その効果を測るには早すぎるかもしれませんが、
今のところは膨れ上がったバランスシートに見合う
売上や利益を出しておりません。


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2009年6月2日(火)

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