中国民俗研究家・上田尾一憲が語る、中国民俗の魅力

第7回
ベッドの上の儀式

家具には大きなものから小さなものまで
それはそれは数え切れないくらの種類があります。
古い物で比較的良い状態で残っているものの多くは、
イスやテーブル、そして生活用品等の手頃な
大きさの物が多いと思います。
それにコレクターとして集め易いのも
商品として売り易いのも
あまり大きくなく手頃な大きさの家具といえるでしょう。

私が買い付けの時に立ち寄る
中国の田舎の古道具屋さんも売り場のスペースの
関係でそういった大型家具は1つ、
あってもせいぜい2つくらいしか
ありません。それにいつ行ってもありますから
買い手がいないのでしょう。

今種字林にある一番大きな家具は
この写真の「彫花描金架子床」です。
清の中期から末期のものと思われますが
かなりいい状態で残っていた貴重な物です。
この家具はある裕福な家の中にあったベッドです。
当時ベッドは家に有る家具のなかでも一番大きな家具であり
さらに、タンスやイスに比べてもりっぱな装飾が
施されていました。

現在でもそうですが、寝室というのはあまり
他人には見られたくないものですよね。
しかし、あまり人に見せたくないベッドでも
これでもかというくらいの大きさと装飾が施されているのは
なぜでしょうか?
それは、当時の人はベッドを非常に重視していたから
なのです。なぜ重視していたかといえば・・・
ベッドの上ではなにをするでしょうか?
非常に大事な儀式が行なわれる場所でも
あるんですよね。
僕も皆さんもその儀式がないと
この世に存在していませんからね。

とにかく当時は「多子多福」といって
皆さん子宝に恵まれたいという
思いが強かったので、ベッドには豪華な
装飾がしてあったり、子宝に
恵まれるようにと縁起のいい彫刻も
施されているのです。
それだけではなく、人間は人生の1/3は
寝ているのですから、その長い時間接している
ベッドはとても重視されていたのです。


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