中国民俗研究家・上田尾一憲が語る、中国民俗の魅力

第29回
逆鱗に触れないように!!

皆さんもよく目にする龍ですが、
龍とは一体どんな動物なのでしょうか。
鳳凰も麒麟も色々な動物が
組み合わさって出来た想像上の動物ですが
龍も同じです。
龍の形態については九似三停説というのがあります。
九似(きゅうじ)というのは
角は鹿に似て
頭は駱駝(ラクダ)に似て
目は鬼(一説には兎とも)に似て
首は蛇に似て
腹は蜃に似て(蜃とは大蛤の事で、大昔は
大蛤が吐く気によって蜃気楼が出ると
考えられていた)
爪は鷹に似て
鱗は魚に似て
掌は虎に似て
耳は牛に似て
といったように
九つの動物から作られているという
後漢時代の文人、王符の説です。

次に三停というのは
首から腕の付け根まで、
腕の付け根から、腰まで、
腰から、尾までの3つの長さが
それぞれ等しいということです。
宋の時代に羅願曾という人物が
この三停と九似をまとめ
龍とはどのようなものなのかがほぼ
確立され、現在にまで伝えられているのです。

その九似三停説に付け加え
龍の頭には博山というコブがあり
その中には龍の力の源である
尺水という物が蓄えられているといいます。
その尺水があるおかげで
龍は空を飛んだり、雲を呼んだりできるのだそうです。
そして、龍の鱗。
龍の鱗は全部で81枚とされ、
その内の一枚は首元にある鱗で逆さまに生えています。
そう、あの「逆鱗」があるのです。
およそ2000年前の韓非子の説難に
「然其喉下有逆鱗径尺、若人有嬰之者、則必殺人」とあります。
龍の喉元に逆さまに生えた一枚の鱗がり
人が触れると、怒ってその人を殺す・・・というのです。
この韓非子の説難は主君に対する臣下の
心構えについて寓話の形でまとめられています。
ここでいう龍は主君の事を指し、
主君に意見を言う時は
十分に気をつけましょうという意味なのです。
でも、殺すのはちょっとひどいですよね。
まあ、今で言うクビですが。
皆さんも社長様の逆鱗に触れないように
気をつけてください。


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