中国民俗研究家・上田尾一憲が語る、中国民俗の魅力

第31回
苦手なもの

古代より最強の力を持ち、
水の神としてあがめられてきた
伝説の聖獣である龍ですが、
そんな龍でも苦手なものは当然あります。
龍が苦手としている物の一つに
「ムカデ」があります。
想像できますでしょうか。
あの大きくて立派な龍が
意外にもちっぽけなムカデが大の苦手なのです。
龍がどうしてムカデを嫌いになったのでしょうか。
龍とムカデについて琉球にてこんな昔話が残っています。

むかしむかし、まだ龍が地上界にも良く来ていた頃。
ある龍が天上界と地上界で大暴れをし、
疲れて地上で眠っていると、
そこにヒョコヒョコと一匹のムカデが現れ
寝ている龍の耳の中に入ってしまいました。
龍はムカデに耳の中を刺されたものですから
たまらなく痛く、我慢できず暴れ回っていました。
そこへ、一羽の鶏がやってきて、耳の中にいる
ムカデをクチバシでヒョイとくわえ食べてしまいました。

それ以来龍は地上界にはムカデという
とんでもなく恐ろしいものがいる、
さらにはそのムカデを一口で食べてしまうやつもいる、
こんな恐ろしい所は滅多に来るところじゃないと思い、
それ以来龍はムカデが怖くて
地上界にはあまり姿を見せなくなったそうです。
龍は水の神様で、川や海が荒れるのは
龍が暴れるからだと信じていた昔の人々は
龍におとなしくしてもらうために
航海へ出る船にはムカデの旗を付けたり、
鶏の飾りを付けるようになったそうです。
その他龍の苦手な物は
鉄、5色の糸、むつおれ草、せんだん草ということに
なっています。
逆に、龍の大好きな物は
珠、銅青石そして燕の肉が大好物だそうです。
あの大きな龍が燕の肉が好きというのも意外ですね。


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