中国民俗研究家・上田尾一憲が語る、中国民俗の魅力

第32回
もしもしカメよカメさんよ。

「もしもしカメよカメさんよ
世界の内でお前ほど歩みの鈍い者はない
どうしてそんなに鈍いのか」
ひどい言われようです。
そんなに鈍い鈍いと言われては
カメがちょっとかわいそうです。
中国ではそんな鈍いカメでも
龍、鳳凰、麒麟と並ぶ四霊獣の一つで
亀は、甲殻類のような固い殻や
甲羅などを持つ甲虫の長で、ありがたい獣なのです。
それに、日本でもそうですが中国でも
亀は長寿の動物と昔から伝えられています。

南北朝時代に、斉の祖冲之の「述異記」中には
「亀一千年生毛、寿五千年謂之神亀、寿万年曰霊亀」
亀は千年生きると毛が生えて、5千年生きると
神亀となり、1万年生きると霊亀になると記述してあり、
昔から亀が
長生きをする動物だと考えられていた事がわかります。
さらに亀は三畳紀(約2億5千年前)あたりに出現し、
中生代から新生代への爬虫類の大絶滅の危機も乗り越え、
今日まで生き残っているという生命力のある生き物なのです。
そんな亀様を鈍いとか言ってるとバチが当たりますよ。
亀様は大事にしないといけないのです。
日本でも浦島太郎のように、亀を助けてあげると
竜宮城につれていってくれたりと、亀が恩返しをする
物語があるように、中国でもいくつかお話があります。

時は東晋。
予州の城を守っていたある兵士が、
町の市場へ買い物に行った時の事。
なんとも珍しい白い亀に出会いました。
兵士はその亀の事がすごく気に入り、
買って家で飼う事にしました。
兵士はその白い亀を
甕の中で大事に育てていたのですが、
亀も次第に大きくなり、
甕の中で飼うのはかわいそうと思い
城に沿って流れている川に放してあげました。
それから間もなく、
その予州の城は敵に攻められ
落城寸前の時に沢山の兵士達は、
城を捨てて鎧を装着したまま、
近くの川へ死に物狂いで飛び込みましたが
鎧を着たまま川に飛び込んだのですから、
みんな溺死してしまいました。
その白い亀を飼っていた兵士も、
もはやこれまでと思い川に飛び込みました。
鎧を着けているので、泳ぐ事も出来ず
これまでかと思った時、
なんとあの可愛がっていた白い亀が現れ、
その兵士を助けてくれたのです。
日本でも中国でも亀は
非常に義理堅い動物なのです。
大切にしましょう。


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