中国民俗研究家・上田尾一憲が語る、中国民俗の魅力

第82回
負けないためには。

孫武は始計篇にて
戦力を検討する5つの条件、
敵国と自国の優劣を比較検討し
戦争の見通しをつける7つの基本条件を
将がしっかりと理解して実行するのであれば、
必ず戦争に勝つ事ができ、
将がこれを理解できずにいれば
戦争には勝つ事ができないと言っています。
いくら、いい作戦があってもそれを聞いて理解し
実行してくれる人がいなければ、計も意味を持たないので
これを実行できる将は決して手放してはならず、
実行できない将はクビにするべきだと言っています。

そして、その後に続くのが有名な

兵とは詭道なり。

戦争とは相手を欺くことである。

出来るのに出来ないふりをし、
必要なのに不必要に見せたり、
近くにいても遠くにいるように見せ、
遠くにいても近くにいるように見せる。
有利だと思わせ誘い出し、罠にかけて混乱させる。
相手の戦力が充実してくれば、退いて備え、
相手の戦力が強大であれば、交戦を避けるなど
始計篇の中には相手を欺く方法が沢山記してあります。

お金を持っているのに持っていないふりをしたり、
競合相手に有利だと思わせ、油断させたり
現代でもいろいろな所で騙し合いが繰り広げられています。
ビジネスも騙し合いなり。なのでしょうか・・・。

そして、始計篇のまとめとして

夫れ、未だ戦わずして廟算するに、
勝つ者は算を得ること多きばなり。
未だ戦わずして廟算するに勝たざる者は、
算を得ること少なきなり。
算多きは勝ち、算少なきは勝たず。
而るに況んや算無きに於てをや。
吾れ、此れを以って之を観るに、勝負見わる。

戦争前の作戦会議にて
勝利する事が決まっている者は
勝利する為の条件を算定し
それが相手を上回っているからで、
その条件が相手を下回っていれば勝利できない。
その算定を多方面からしっかりと出来る者は勝利でき、
その算定を怠けてしまう者は勝利できない。
私はこのように見れば勝敗は戦う前に知ることができる。

始計篇で孫武の言っている自己戦力検討5つの条件と
敵国との7つの比較条件を検討するのは
勝算があるかないかを算出するためであり、
勝算がなければ戦争はするべきではないというのが
孫武の基本的な考えなのです。
勝ち戦になるか負け戦になるか、
それを算出する事が出来れば
わざわざ負けることはないのです。


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2006年10月21日(土)

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