階級闘争は終ったが、国別の等級が顕在化してきた


「強い通貨」を稼ぐ人たちがトクをするほうにまわる

お金が一つの国から別の国に移動することは以前に比べてうんと容易になった。為替の自由化が原則として制度化されている国では、そのときの為替レートでどこへでも自由に送金することができる。為替の統制のきびしい国でも、必ず地下銀行があってヤミ相場でお金を外国に送り出したり、外国からの送金を受け取ることができる。人間の移動にはパスポートが必要だが、お金には国境がないので、どこへでも自由自在に動くことができる。
それだけ地球が狭くなって、ヒトもモノも力ネも往来が頻繁になった。物が一方的に一つの国から他の国に流れると、お金は反対の方向に流れようとする。それが大きなスケールで長期にわたって起ると、輸入超過国では、お金が不足するが、対外債務がふえるから、通貨が弱くなって為替相場が下がる。すると、いくらか逆の方向へ調整が行われるが、それでも効果がはかばかしくないときは輸入制限や関税の引き上げが行われる。しかし、一国が他の国に対して恒常的な赤字に見舞われるといっても、すべての生産分野に優劣の差が生じているわけではない。
たとえば、アメリカは日本に対して年問、約六○○億ドル近い入超が続いているが、その内容をみると、自動車とか、半導体とか、家電製品とか、ごく一部の商品を買いすぎて支払い超になっているだけのことである。そのいずれもアメリカでつくれないものは一つもないから、その気になれば輸入禁止をして思い切った荒治療をすることもできる。それをそうしないでいるのは、自由貿易にしておいたほうが諸国民の利益になるという思想があるからであって、どうしてもそれを維持できなくなれば、世界の舞台でのモノと力ネの流れは大きく変る。だが、どこの国でもいきなり輸入禁止に出るよりは、為替レートの調節をしたり、公定歩合の調節をしたりして、モノや力ネの流れを変えようとする。輸入が多すぎると、自国通貨が安くなるし、輸入が多すぎると、反対のことが起る。

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