ただ1つはっきりしていることは、国内における貧富の差は、マルクスの発言したのとちようど逆の方向に向かっており、金持ちの国ほど貧富の差は解消しているが、金持ちの国と貧乏な国とのあいだに新しい格差が生じ、国と国のあいだに等級が生まれつつあることである。所有とか、支配とかいったことを問題にするならば、日本を先頭とした東アジアの国々に世界的な経済支配権が移り、その世界制覇が始まっている。ちょうどオスマン・トルコが興って東ローマ帝国を滅ぼしたように、日本の企業群がアメリカ本土に上陸してロスやニューヨークを自分たちの経済的支配下におくだろうことは充分予想のできることである。
昔ならそれこそ帝国主義の侵略として、それぞれの土地の国民の総反撃をくらったことであろう。それがそうならないですんでいるのは、新しい投資や工場進出がそれぞれの土地で新しい雇用を生み出し、新しい富をもたらしているからである。
お金は、過去の常識によれば、輸入超過国から輸出超過国に動く。数字のうえでは今もアメリカから日本へ振り替えられている。しかし、これ以上の支払い超過を防ぐために、アメリカがスーパー三○一条を適用せざるを得なくなるだろうことも想定して、無用の摩擦を回避するために、工場をアメリカ本土内に、また同じようにEC地域や東南アジア諸国の域内に移動させる動きも盛んである。モノも動けば、モノを売って受け取ったお金も、同じ方向に動く。貿易収支は赤字でも資本収支を合計すれば、一応の均衡が保たれる。アメリカでいえば、日本の有力企業の誘致に成功した州の経済が発展し、雇用が促進されることは明白なので、多くの州が東京に州事務所を置き、日本企業の誘致に血眼になっている。

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