横山典生  新米のベトナムビジネス物語

ベトナムの証券会社で
唯一最初の日本人社長です

第3回
逆風の中の船出

新証券会社設立にあたり、
現地でのミーティングが終わって帰国してから
ベトナム通の方から一言、
「新しい証券会社の認可はおりないよ。」 との話がありました。

大手のベトナム証券会社のCEOなどは、
証券会社の数が多すぎて(その数、100社弱)
3分の1くらいに淘汰されるなどと
さかんにマスコミに流していましたし、
実際に、ベトナムの証券会社は
2006年からの大きな値上がり相場の中で
自己売買や不動産投資などを行っており、
その反動の値下がり相場を受けて
財務内容が著しく悪化しているのが実態でした。

巷では、お客様のお金や証券を
使い込んでいるといった噂もあったのです。
証券会社から送られてくる預かり残高が
根拠のないものだったら大変なことになります。

ベトナムの証券会社を管理する政府当局は
SSC(State Securities Commission)といい、
日本の金融庁といったところです。
彼らとしても各証券会社に資本の増強や
分別管理などといったことを指導し始めています。

さらに、ズン首相が
「国営企業の本業回帰」を宣言していました。
実際、国営企業は政府主導による経営の多角化により、
金融業(銀行、証券など)や不動産業などへの参入を行っており、
市場の暴落により、それなりの影響を受けていたと思われます。

さて、現地パートナーの国営企業ビグラセラグループと組んだ
私たちの新証券会社設立計画は
逆風の嵐の中の船出であったのですが、
当時の私にしてみれば、
現地パートナーの「大丈夫」という言葉を頼りに、
日本人感覚で予定表を作っていました。

2008年6月事前認可がおり、
2ヶ月の準備期間で、会員権の取得、
そして、9月1日からの開業。
市場の最悪期に船出することを、
私も日本側資本も絶好機と考えていました。


←前回記事へ

2009年8月8日(土)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ