横山典生  新米のベトナムビジネス物語

ベトナムの証券会社で
唯一最初の日本人社長です

第4回
案件が無くなった時のために

現地パートナーの「大丈夫」という言葉を頼りに、
日本人感覚で予定表を作っていましたが、
この時期から8月後半まで無風状態が続きます。
現地パートナーと連絡をとっても
依然、「大丈夫」という回答だけです。

証券ライセンスを認可するSSC
(State Securities Commission:証券会社を管理する政府当局)
との交渉が進んでいないことは明白でした。
また、国営企業としての立場も
それなりの影響があったものと思います。

日本側資本としては、こちらから降りるという発言は避けたい。
今後のベトナム進出への様々な悪影響を懸念したからです。

とはいっても、
このまま黙ってみている資本家たちではありません。
(私を暇にしてくれる方々ではありません。)
皆さん一様に、
「この案件が無くなった時のために、
買える証券会社を探しておけ。」とのご命令です。

そこで通訳をつけて、
大資本どころ(銀行資本など)を除く
証券会社をコツコツ訪問しました。
私たちはハノイでの開業を目論んでいましたので、
ハノイ市内の証券会社を数件回っているうちに、
売り込みもあり結果的に20件弱といった訪問件数となりました。

回ってみて驚いたのは、役員クラスは
証券会社を一時的な金儲けの道具にしか思っていないこと。
また、部長クラスは全く覇気がなく、
スタッフが時間つぶしをしているだけです。
このような会社を買ってもどんな実態が見えてくるか分らず、
経営権をとっても重荷になるだけでした。
売込み案件もありましたが、信用できませんでした。

1件だけ興味をそそる会社がありました。
日本の企業に長く勤めたベトナム人が社長で
出資者もそうそうたるメンバーです。
システムとコンプライアンスに力を入れ、
投資家に対するサービスを充実させ
証券会社の本道を目指していました。

ただしこの時点では彼らも証券業の事前承認だけで、
正式認可がおりていない状況であり、
積極的な話はしませんでした。

この会社とはその後も長く付き合うことになります。


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2009年8月11日(火)

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