横山典生  新米のベトナムビジネス物語

ベトナムの証券会社で
唯一最初の日本人社長です

第13回
余計なこと

藍澤證券と日本アジアグループの面々との緊急会談のため
ハノイからの直行便で成田に向け出発しましたが、
オフシーズンのように乗客が少ない機内でした。

私は隣の若いベトナム人女性と、
カップル状態で窮屈に座っていたので、
トイレから席に戻った際、別の席に移動しようとした時でした。

CAが入国審査用紙などを配り始めていました。
CAが隣の彼女にも渡そうとすると、
様子が分からないとの一点張りで彼女は一向に受け取りません。
CAも頭にきたのか渡さずにもって帰ろうとしたので、
私は「置いていきなさい。」といって
座席の前のポケットに挟み込ませました。
使うかどうかは後で考えればいいことです。

さて席を移ろうかと、腰を浮かしたときです。
シクシク、シクシク、この娘が泣き出しました。
「どうした?」「腹がいたいのか?」「何が悲しいんだ?」
まあ、余計なお世話でしたが、
息子には電車の中でお年寄りや体の不自由な人に、
即座に席を譲る教育を施した父親です。
ほっとけないでしょう。

ただし嫌がられず、
しつこい親父にならないように慎重に聞きました。
笑顔と優しさだけで今の奥さんに結婚してもらった私です。
大丈夫です。

英語?日本語?すぐに私の限界を悟りました。
この娘ベトナム語しかわかりません。
CAを呼んで、
ベトナム語のできる乗務員を連れてくるようにいいましたが、
乗務していないとのこと。
手振り身振りの会話がスタートしました。

その後CAは寄り付こうとしませんし、
こちらもかかわった以上必死です。
自分のパスポート見せてその娘のパスポートを出させ、
入国審査書類などの関連書類に記入しました。

日本の住所?どこ?・・・。
ええい、オークラでも書いておけ。
連絡先?適当な電話番号書こうとしたら、
おもむろにメモを出します。携帯の電話番号がありました。
この娘分っているのかも・・・。涙はとまっています。

腹が痛いわけではなかったようです。
なんとか入国に必要な書類を用意して、ふと思いました。
この便は朝早くに着くのですが、迎えはあるのでしょうか?
全く余計なお世話です。
その時、体がふわっと浮いた感じになりました。


←前回記事へ

2009年9月1日(火)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ