横山典生  新米のベトナムビジネス物語

ベトナムの証券会社で
唯一最初の日本人社長です

第16回
神のみぞ知る・2

藍澤證券と日本アジアグループの面々との緊急会談の後、
邱永漢氏に出資の最終的な意思決定をしてもらうため、
藍澤證券から随行していただいた方と共に
邱氏の事務所に伺いました。

邱氏の事務所に到着したのは
午後の早い時間だったと記憶しています。
普段懇意にしていただいている事務所の皆様も
なにかしらよそよそしげであります。
でも、不思議なもので私自身は全く緊張していません。
プロジェクトは止める気持ちになっていますから・・・。

事務所の会議室で待っていますと、邱氏が登場です。
私からまずお話しさせていただきました。

「先生。様々な方面から検討いたしましたが、
もうダメです。撤退しましょう。」

先生、キョトンとした顔です。
あれ、聞こえてないのかな?
「先生・・・」と、まさに言葉をかけようとしたときであります。

「ん、増資しますよ。増資。それでいいんでしょう?」

「え”=!」でありまして、
言葉にならない驚きの私の顔は
いったいどんなものだったのでしょう。
横でプロジュクト撤退のコメントを用意していた
藍澤證券の方も、言葉を失って私を凝視しています。

一方事務所の方からも
「先生は増資を決定されました。
どのくらいの金額が必要なのか後で詳細を教えてください。
横山さん、よかったですね。」との温かいお言葉を頂戴しました。

結果的には、成功裡に終わった会談でありましたが、
帰社する車中では、
会社としてほぼ撤退の意見で固まっていた
藍澤證券の方の頭を悩ませる結果となり、
かつ、日本アジアホールディングズの首脳にも電話で連絡すると、
もう少し確認してから報告せよとの叱咤を受ける始末です。

ああ、自分で空回りしたのでしょうか?
何故邱氏はお考えを変えてくれたのでしょう?
私が一緒懸命にやっていたらから
きっと情けをかけていただいたに違いない、と思おうとすると、
意地の悪い先輩たちからは、
「バカ、相手は投資の神様だよ。
ベトナムとこの案件が儲かると思ったからだよ。
お前の事なんか全然気にしてないさ。」

むむ〜そうかな。まさに「神のみぞ知る。」か。


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2009年9月8日(火)

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