横山典生  新米のベトナムビジネス物語

ベトナムの証券会社で
唯一最初の日本人社長です

第93回
指定外国金融商品取引市場

ベトナム市場が結構好調です。
国内の物価高警戒感もどこ吹く風の勢いで上がっています。
ホーチミン取引所市場の株価指数が
550を越えるような場面があると嬉しいですね。
個人的にはまだ450〜550のボックス圏だと思っているのですが、
数日値上がりが続くと現場に身を置くものとしても
ちょっと焦っちゃいますね。
こんな時は、コーヒーでも一杯飲んで落ち着きたいものです。

日本の金融庁が
2010年4月1日から施行する予定の新法律の中に、
ベトナム市場にとってはあまり良くない話があります。
ベトナム市場が、どうやら指定外国金融商品取引所に
ならないということのようです。
3月15日までパブリックコメントを取って
正式決定の運びのようです。

金融庁が指定しようとしまいと
既に行動を起こしていらっしゃる投資家の皆様は
あまり関心がないと思いますが、
これからベトナムに参入しようという個人投資家の方はもちろん、
証券会社やファンドにも少なからず影響があると思います。
参入者が増えないと資本市場としては
発展スピードが鈍化すると考えるからです。

いろいろ日本の関係者に聞いてみました。
通常このような法律の決定前には、大手証券を中心として
いくつかの証券会社が集まって議論するのだそうです。
市場規模とか国際会計基準を導入しようとしているかなど
いくつかの点があったようですが、
所詮、取次ぎをしていない証券会社
(現在6社しか取次ぎを行っていません)の方たちの集まりでは
興味も持たれないのは当たり前でしょうか。

結論的に、原案ではベトナム市場は
「指定=推奨」される
外国証券市場にはならないものとなっています。
いくつかの日本の証券会社が金融庁に掛け合っていますが、
お役所のことですのでかなり旗色は悪そうです。

金融庁がベトナムに
「指定」をつけなかったという理由のひとつに、
ベトナムが国際会計基準(IFRS)に則すことを
PR(宣言)していないことがあるそうです。
日本や他の国々でもまだ国際会計基準に則してはおらず、
則すことをコミットメントすることでOKとなっています。

その他の国と違って、
ベトナムは2005年からIFRSで会計基準を作ってきており
半部以上IFRSなんだそうです。
しかし、減損会計などのいくつかの主要な部分が
まだ開発途上であり、企業価値がフェアに評価されていない
といった指摘もあるようです。
しかしこれだけ注目されてきているベトナム市場です。
「指定」をつけて投資家保護の観点から
証券会社や個人投資家を指導していけるような、
視野の広い金融庁であってもらいたいと願っています。


←前回記事へ

2010年3月9日(火)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ