プロが教えます!公認会計士
山田淳一郎さんのトクする税金の話

第6回
株の取引で損失が出てしまった人に救いの手

国はここ数年前から、
お金を金庫に入れておくよりも株式等に投資して欲しいと考え、
リスクをとって株式投資をする人が
少しでも増えてくれることを願って税制を決めています。
そのうちの一つが「上場株の売却による損失と
翌年以降3年の間に生じた株の売却益とを相殺できる」
という制度で、平成15年に生じた売却損失から活用できます。

平成14年までは、株の売却による損失は、
同じ年の株の売却益と相殺することが認められているだけで、
相殺後の損失が残ってしまった場合でも
その損失は切り捨てられてしまい
翌年以降に繰り延べることはできませんでした。

平成15年からは、上場株の売却損が
その年の売却益よりも多かった場合、
すなわち、株の取引による損失が残ってしまった場合、
その残った損失を翌年以降3年間の株の売却益と相殺して
税金を計算することができるようになりました。
ただし、この「株式売却損の3年間繰越控除」の制度は
確定申告をしなければ受けることはできませんので
注意が必要です。
具体的には、1年間の株取引によって損失が出てしまった場合は
たとえ納める税金がない場合でも、
その年の確定申告書
(上場株式等に係る譲渡損失の金額の計算に関する
明細書を添付したもの)を提出して、
その後繰越控除を受ける年まで、
毎年確定申告書を提出
(控除を受ける年は、控除を受ける金額の計算に関する
明細書を添付)すれば、
「株式売却損の3年間繰越控除」の制度を受けられます。

なお、上場株式を所有した侭その発行会社が倒産してしまい
株券が紙屑になってしまった場合の損失は、
他の株式の売却益との相殺は認められません。
つまり売却損は売却益と相殺(3年間)できますが、
倒産に伴い紙屑になった場合の損は全く相殺できませんので、
倒産の危険性があると判断した会社の株式は
思い切って売り切り売却損を出したほうが、
他の株式のその年の売却益か
翌年以降3年間の売却益と相殺でき、
助かる税金分だけですけど得になります。

執筆:税理士 加藤友彦
監修:公認会計士 山田淳一郎


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