プロが教えます!公認会計士
山田淳一郎さんのトクする税金の話

第9回
特定口座についてお話します

平成15年1月以降に株式売買の売却益が出たときは、
原則として確定申告が必要になります。
この確定申告のための準備や手間を
軽くするためにつくられたのが「特定口座」制度であり、
特定口座を開設すれば私達一人一人は
確定申告をしないようにすることもできます。

特定口座を開設するためには、
「特定口座開設届出書」
証券会社の営業所に提出するとともに
本人確認書(住民票の写しや運転免許証、保険証など)を
提示します。
特定口座は一つの証券会社に一つ開設することができ
(一つの証券会社には一つしか開設することができません。
 つまり同一証券会社のA支店とB支店に
 二つ開設することはできません)、
複数の証券会社にそれぞれ一つずつ、
つまり証券会社を別にするならば
二つでも三つでも開設することができます。

特定口座を通して上場株式の取引を行う場合、
毎年1回最初の取引のときに源泉徴収
(証券会社に税金関係の全てを任せてしまう方法)を
するか否かを選択します。
源泉徴収を選択すると
その特定口座を通して行う上場株式の取引について
全ての税務手続を証券会社が代行してくれます。
すなわち私たちは確定申告をしなくて済みます。

但し、特定口座を複数の証券会社に設けている場合に
年間を通じた損益が一方はプラス
他方はマイナスというときには確定申告を行い、
一方で払いすぎになっている税金の還付を受けることになります。
また、特定口座を利用している場合でも
「売却損の3年間繰越控除制度」を適用する場合には、
確定申告しなければなりません。

ところで
「購入価額合計1,000万円までの株式の
 売却益に対する非課税制度」
は、
源泉徴収を選択している特定口座を通して売却した株取引には
適用できませんので、
特定口座から引き出した上で売却してください。

これに対して特定口座は作ったけれども
源泉徴収は選択しなかったというケースの場合には、
証券会社から株式の売却代金や取得費などを管理・計算した
「年間取引報告書」が投資家の皆さんに送られてきますので、
皆さんはその報告書をもとに確定申告を行うことになります。

特定口座は開設する手間こそかかりますが、
それ以降の手続が楽ですし、
デメリットは何もないと思われますので検討してみてください。

執筆:税理士 加藤友彦
監修:公認会計士 山田淳一郎


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