プロが教えます!公認会計士
山田淳一郎さんのトクする税金の話

第22回
特定口座(源泉徴収口座)、確定申告した方が得なケースも

特定口座を開設して「源泉徴収」を選択すれば、
その特定口座内の上場株式等の売却については、
「売却損益の計算・売却益にかかる税金の計算および申告・納税」
は証券会社がすべて代行します。
すなわち、私たちは何もしなくてよい手間いらずとなります。
ただし、次のようなケースは、
税金メリットを受けたければ確定申告が必要です。

1.特定口座(源泉徴収口座)における年間取引結果が
  売却損となったケース

  特定口座(源泉徴収口座)のその年1年間の取引結果が
  売却損失であったケースです。
  この特定口座の上場株式等売却損は、確定申告すれば
  「上場株式等の売却損失の3年間繰越控除制度」
  の適用を受けることができます。

  売却損ですから確定申告しても納税は生じません。
  「株式売却損を来年に繰り越します」
  という意思表示をするための確定申告です。

  売却損を繰り越して、
  翌年・翌々年・翌々々年の株式売却利益と相殺すると、
  相殺部分に対応する税金は払わずに済みますから、
  面倒でも確定申告なさることをお勧めします
  (なお、翌年に生じた株式売却利益と
  繰り越してきた上場株式売却損を相殺する場合にも
  確定申告する必要があります)。

2.複数の証券会社で特定口座を開設しており、
  一方が利益、一方が損失のケース

  例えば、甲証券会社の特定口座(源泉徴収口座)の
  年間取引結果が損失であり、
  乙証券会社の特定口座(源泉徴収口座)の
  それが利益であった場合です。

  この時は、両方の特定口座の株式売却について
  確定申告をすれば、利益と損失を相殺できます。
  相殺後に利益が残った場合には、
  その残った利益に対する税額だけが
  本来「払うべき税額」ですので、
  乙証券会社の特定口座で源泉徴収された税金の一部が
  納税し過ぎであったことになり戻って来ます。

  相殺後、損失の方が大きかった場合には、
  乙証券会社で源泉徴収された税金が全額還付され、
  相殺しきれなかった損失を翌年以降3年間繰り越すことができます。

執筆:TFPコンサルティンググループ(株)税理士 布施麻記子
監修:公認会計士 山田淳一郎


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