プロが教えます!公認会計士
山田淳一郎さんのトクする税金の話

第32回
複数の証券会社に特定口座開設
―売却損を有効活用する為の確定申告

特定口座は証券会社毎に1つ開設することができます。
複数の証券会社と取引をしている場合には、
それぞれの証券会社にひとつずつ
特定口座を開設することができます。

ここでは、複数の証券会社に
特定口座(源泉徴収口座)を開設した場合
(一般口座は開設していないものとします)の
税金計算ルールと損をしない為の
確定申告対応について説明します。

1.すべての特定口座(源泉徴収口座)ついて、
  売却利益が生じた場合

  その年の上場株式等売買がすこぶる順調で、
  どの特定口座(源泉徴収口座)においても
  1年間の結果が黒字(利益)であったケースです。

  各々の特定口座(源泉徴収口座)について、
  各々の証券会社が売却利益の計算・税金計算・納税を
  代行してくれていますので、
  私たちは何もする必要はありません。
  利益も出たし、手間もかからず、最高のパターンです。

2.すべての特定口座について、売却損失が生じた場合
  その年の上場株式等売買が極めて不調に終わった、
  すなわち、どの特定口座も1年間の結果が
  赤字(損失)であったケースです。

  ここはがんばって確定申告しましょう。
  上場株式等の売却損は、確定申告すれば、
  翌年以降3年間繰り越すことができます。
  繰り越した上場株式等売却損は、
  翌年以降3年間の株式売却益と相殺できますので、
  翌年以降の挽回を期して確定申告なさって下さい
  (翌年も確定申告が必要です)。

3.一方の特定口座(源泉徴収口座)は売却利益、
  他方の特定口座(源泉徴収口座)は売却損の場合

  A証券会社の特定口座(源泉徴収口座)は黒字(利益)、
  B証券会社の特定口座(源泉徴収口座)は赤字(損失)
  というケースです。

  この場合も確定申告に行きましょう。
  確定申告して、A証券会社の特定口座の売却利益と、
  B証券会社の売却損を相殺します。
  相殺後利益が残ったら、その残った利益に対する税額が
  負担すべき金額ですので、
  結果としてA証券会社で源泉徴収された税金のうち
  B証券会社での売却損に対応する額が戻ってきます

  利益と相殺し切れずに売却損が残ったら、
  ます、A証券会社で源泉徴収された税金が全額還付されます。
  さらに、相殺し切れずに残った売却損は
  翌年以降3年間繰り越して、
  翌年以降の株式売却利益と相殺することが可能です
  (翌年も確定申告が必要です)。

執筆:TFPコンサルティンググループ(株)税理士 布施麻記子
監修:公認会計士 山田淳一郎


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