プロが教えます!公認会計士
山田淳一郎さんのトクする税金の話

第38回
上場株式配当100万円、
税制改正で「高額所得者は手取り56万円が90万円に」

平成15年3月期の上場会社の株主総会の集中日は
平成15年6月27日でした。
その総会で決議された株主配当に関する通知が
株主に送付されていますが、その通知を取り出してご覧ください。
「源泉徴収税率10%」となっています。
去年までは「20%」でした。
平成15年度改正において、
上場株式等配当について税金が軽減され、かつ確定申告も不要、
というかなり思い切った改正が行なわれました。

例えば高額所得者の方が
年間100万円の上場株式等の配当金を受ける場合、
今までは確定申告して約44万円の税金(所得税・住民税)を払い
残る手取額が56万円でした。
これに対して、改正後(平成15年4月〜平成20年3月)は
確定申告は不要、税金は配当金から
源泉徴収される10万円(所得税・住民税)だけで
税引き後の手取り金額が90万円になります。
税引き後手取額が56万円から90万円になる、
すなわち税引き後利回りがアップするという嬉しい改正です。

1.改正前の取り扱い
  改正前の株式配当の取り扱い(所得税・住民税)です。

(1) 配当を受ける際に、とりあえずの前払い税金として
   「所得税20%」が源泉徴収されました。

(2) 翌年3月15日までに確定申告し、
   配当金(配当所得)はその年の給与所得や
   事業所得と合算して総合課税(累進税率適用)されました。
   国内法人の株式配当については配当控除の適用があり
   (詳しくは次回参照)、
   結果、高額所得者の方は最高税率43.6%の税負担
   (所得税・住民税)となっており、
   前払いしてあった所得税20%は精算される制度でした。

(3) 以上が原則ですが、少額配当については
    「確定申告不要」を選択することも可能でした。
   少額配当を確定申告しない、ということは、
   源泉徴収された所得税20%で課税を完了させた
   ということです
   (住民税は、確定申告の有無にかかわらず
   少額配当については非課税)。
   なお、少額配当とは、1銘柄1回に受ける配当の額が
   5万円以下(配当の計算期間が1年以上の場合には10万円以下)
   のものをいいます。

今までは、少額配当でない場合には確定申告が必要であり、
高額所得者の方が100万円の配当を受けると
総合課税により最高税率43.6%がかかる、
つまり税引き後手取額は約56万円でした。

2.改正後(平成15年4月以降)の取り扱い
   平成15年4月1以降の「上場株式等の配当」については、
   以下の取り扱いになっています。

(1) 配当を受ける際に源泉徴収(とりあえずの前払い税金)
   される税率(所得税・住民税合計)。
  ・平成15年4月〜平成20年3月:10%
  ・平成20年4月以降:20%

(2) 申告不要とできる配当について、
   「5万円以下・10万円以下」という金額基準が撤廃されました。
   つまり、1銘柄1回の配当が30万円、50万円であっても、
   確定申告しなくてよいことになりました。
   つまり配当を受け取る際に天引きされた10%の税金
   (平成20年4月以降は20%)で完了となります。

改正後は、上場株式の配当金については
金額の大小にかかわらず確定申告せずに
10%(平成15年4月〜平成20年3月)の源泉徴収で課税が完了する、
つまり、高額所得者が100万円の上場株式配当を受けた場合、
確定申告せずに10万円の税金で終わらせ、
手取りが90万円残ることになりました。 

3.但し、上場会社大口株主が受ける配当は従来通り(改正なし)
   上記改正は、上場株式等の配当について適用されます。
   ただし、上場会社であっても大口株主
   (発行済み株式総数5%以上を所有する株主)については
   改正の適用はありません。
   つまり、確定申告が必要であり総合課税
   (最高税率43.6%)されます。
   また、未上場会社の株式配当も従来通りで改正はありません。
   すなわち、原則総合課税、但し5万円以下
   (配当の計算期間が1年以上は10万円以下)の
   少額配当は申告不要とすることができる取り扱いです。

執筆:TFPコンサルティンググループ(株)税理士 布施麻記子
監修:公認会計士 山田淳一郎


←前回記事へ 2003年8月1日(金) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ