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山田淳一郎さんのトクする税金の話

第65回 生前贈与のための新相続税制
贈与者(父・母)の相続税
「贈与金額(贈与時の価額)」が相続税の対象

子どもが新制度を利用して
親から財産の贈与を受けた場合に、
その後に贈与者である親が亡くなったときには、
相続財産に贈与を受けた財産を加算して
相続税を計算します。

この時、贈与を受けた財産は
贈与時の価格で加算します。
相続時の価格ではありません。

新制度は、生前贈与した財産を相続時に
本来の相続財産に加算して計算する
(子どもに贈与したはずの財産が
 親の相続財産として計算されてしまう)ことから、
表面的には相続税対策になりません。
しかし、この新制度のポイントは
「生前贈与した財産は贈与時の価格で加算する」
ということにあります。

相続税がかかる方にとって、
このポイントから導かれる結論は次の2つです。

(1)将来価値が上がる財産については、新制度を利用すると有利
(2)将来価値が下がる財産については、新制度を利用すると不利

設例を使ってご説明しましょう。
<設例> 
1.前提
  父の相続財産の価格 2億円
  新制度を利用して生前贈与したA株式1億円(贈与時の価格)

2.ケース別相続財産の課税価格

新制度を利用した場合には、
生前贈与をした後のA株式の価値の増減は
相続税の課税価格に反映されませんので、
贈与後にA株式が値上がりした場合、
値下がりした場合のいずれも相続税の課税価格は同じです。

したがって、新制度を利用しない場合
(生前贈与を行わなかった場合)と比較すると、
贈与後にA株式が値上がりして
2億円になったとき((3)のケース)は
課税価格ベースで1億円有利(4億円−3億円)、
値下がりして0.5億円になったとき((1)のケース)は
課税価格ベースで0.5億円不利
(2.5億円−3億円)となることが
ご理解いただけると思います。

執筆:(株)東京ファイナンシャルプランナーズ 税理士 鈴木 寛
監修:公認会計士 山田淳一郎


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