プロが教えます!公認会計士
山田淳一郎さんのトクする税金の話

第68回 生前贈与のための新相続税制
新制度選択
以後の贈与は税務署にすべて申告書がファイルされる

子どもが新制度を利用して
親から財産の贈与を受けた場合、
その後に贈与者である親が亡くなったときには、
相続財産に贈与を受けた財産を加算して相続税を計算します。

したがって、新制度を適用して
贈与を受けた財産を把握していないと
相続税を計算することができませんので、
贈与を受けた財産に関する情報は
贈与を受けた子ども及び税務署の両方で
把握しておく必要があります。
贈与回数には制限がありませんので、
その贈与に係る申告書が
受贈者である子どもから提出される都度、
税務署にはこの贈与に関するデータが
長期間にわたって全てファイルされていくことになります。

なお、税務署に蓄積されたデータは
相続税の申告に関して次の目的で利用されます。

(1)相続人等からの開示請求

次に掲げるようなケースでは、
相続人等は税務署で保管しているデータを教えてもらわないと
相続税の申告ができませんので、
税務署長に対して贈与税の申告内容の開示を
請求することができます。

1.贈与を受けた相続人が
  過去の贈与税申告書をなくしてしまった場合

2.相続人同士が仲違いしているなどの理由から、
  相続税の申告を相続人共同ではなく各個人で行う場合で、
  自分以外の相続人等が生前に被相続人から
  一定の贈与を受けていたか否かの事実がわからず
  相続財産の合計額が算出できないとき

(2) 相続税調査

相続人から相続税の申告書が提出された場合、
税務署長はその申告内容についてチェック行い、
必要に応じて調査を実施します。

特に、新制度を適用して贈与をしていた場合には
「新制度を適用して贈与された財産が
 相続財産にきちんと加算されているか」
「過去に申告された財産以外に贈与しているものはないか」
等の観点から保管しているデータを参考に
チェック・調査を行うものと思われます。

なお、申告内容に誤りがあった場合には、
税務署長はその申告を正しい内容に修正することができます。
新制度に係る贈与については、
贈与税の申告をしているか否かにかかわらず
全ての贈与財産が相続財産の加算対象になることから、
最初に贈与を行った時から
親が亡くなった時までの一連の贈与がすべて
相続税調査の対象になります。

執筆:(株)東京ファイナンシャルプランナーズ 税理士 鈴木 寛
監修:公認会計士 山田淳一郎


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