プロが教えます!公認会計士
山田淳一郎さんのトクする税金の話

第80回 生前贈与のための新相続税制
新制度を選択して成功
「新制度と遺言等の合わせ技で家督相続を実現」

戦前の相続制度は「家督相続」といわれ、
長男などが戸主として、
家についての財産債務、
権利義務のすべてを受け継いでいました。

この制度は昭和22年に廃止されていますが、
現在でも先祖代々の地主、
とくに田畑をもって農業を営むような家では、
家督相続の考え方が色濃く残っているようです。

家督相続の善し悪しは別として、
家長たる長男に
すべての土地を受け継いでもらいたい、
他の子どもたちには我慢をしてもらいたい
と考える地主さんにあっても、
新制度の上手な活用法が考えられます。

長男以外の子どもたちが
相続権を放棄するような制度があれば、
長男にすべての財産を集中させることも可能です。
しかし、民法上このような制度はありませんので、
相続での財産争いを避けようとすれば
「遺言」を書いておく必要があります。

それでも子どもには全員「遺留分(第70回参照)」
(子どもの場合は法定相続分の2分の1)が
保障されていますから、
長男以外には一切財産を譲らないというわけにはいきません。
すべての土地を長男に相続させると遺言しても、
他の子どもたちが遺留分の侵害だといって
訴えを起こす(「遺留分の減殺請求」といいます)
かもしれないのです。

したがって、何としても相続争いを避けようとすれば、
家庭裁判所で「遺留分の放棄」をしてもらう方法が考えられます。
ただし、他の子どもたちとしては
当然抵抗があるでしょうし、
親としても他の子どもたちには
一銭たりとも財産をあげたくない
ということではないと思います。

土地や、遺留分ほどの財産を渡すことはできないが、
現金や預貯金の一部くらいは
嫁いだ娘にも遺してやりたい、
そう考える方が多いのではないでしょうか。

そうであれば、
新制度による贈与を考えてみてください。
他の子どもたちには遺留分を放棄してもらい、
その代わりに預貯金などを新制度で贈与します。
土地、その他の財産は
すべて長男に相続させる旨の遺言を作っておけばもう安心、
円滑な財産承継が約束されます。

執筆:税理士法人山田&パートナーズ 税理士 佐伯草一
監修:公認会計士 山田淳一郎


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