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          第6回 
          ジロリの男 
         商店街を歩いていると、 
          いま何が流行っているのかよくわかります。 
          大阪にある天神橋筋商店街は 
          約3キロメ−トルと直線では全国で一番距離が長い商店街ですが、 
          古本屋さんは確認できたものだけで7店舗もあり、 
          本好きの私にとってはメッカとも言える場所です。 
          さすがに日本一を誇るだけあり、 
          シャッタ−通りの名前とは無縁ですが、 
          お店はめまぐるしく変わります。 
          出会いあれば別れありといったように、 
          新しいお店がオ−プンしたかと思えば 
          すぐに閉店し、しばらくするとまた新しいお店がオ−プンします。 
        一時期、もてはやされたコ−ヒ-ショップは今では乱立気味で、 
          商店街から外れたビジネス街にまでありますが 
          ハヤッているお店と閑古鳥が鳴いているお店とは一目瞭然です。 
          ビジネス街にお店を作るということは、 
          休日にはお客がはいりません。 
          つまり、週に2日は開店休業状態で 
          5日間で一週間分の稼ぎを出さなくてはなりませんので、 
          経営者はどうしてこの立地にお店を出したのだろう、と 
          商売に素人の私でも首を捻ります。 
          邱先生の「商売の原則」を読めば 
          立地の大切さがよくわかるのでしょうが、 
          いくら店内がキレイでもこれでは打つ手はないだろうと 
          ジロリと一瞥してその場を通りすぎます。 
          囲碁界の大御所、藤沢秀行名誉棋聖も 
          ビジネス街で囲碁道場を開かれたことがありますが、 
          会社が休みだと誰もやって来なくなることを計算に入れておらず、 
          あえなく失敗に終わったと著作のなかで語られています。 
          業種によるのかもしれませんが、 
          こうして考えてみるとビジネス街での商売は難しいのだなあ 
          とおぼろげながらわかってきます。 
        そんななか、整骨院やマッサ−ジ屋さんが流行っています。 
          以前、朝の早い時間帯に商店街を歩いていると、 
          行列ができていました。 
          それは整骨院の前でした。 
          最近、75歳以上の人が 
          日本の人口の1割を占めるようになりましたが、 
          これからは健康産業とサービス業の時代だと、 
          かなり前から指摘されていた邱先生の卓見には驚きます。 
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