山本理さんの「男が語る美容に効く話」

第46回
私とアルバイト 時給三千円にはワケがある

前回は少し堅苦しい話になってしまったので
今回はちょっぴり、くだらない私の体験談をお話しします。
フトコロがさみしいことは今も同じですが、
これも大学生の頃の出来事です。

「一日だけなんだけど、二時間働けば六千円貰える
アルバイトがあるから一緒にしないか?」と、友人から誘われ、
時給の高さに目が眩んだ私は
どんなことをするのかさえ知らぬまま、
彼に連れられ、現地へ向かいました。
そして、家電メーカーとして世界的に有名な会社に到着し、
小さな部屋へと案内されたその五分後、
私たち二人はなんとTバック姿に変身していました。

実はその研究所では便座の研究をしていて、
私たちはその座り心地を調べるための
被験者だったというわけです。
「では、これに着替えてください」と、
社員の方から薄いパンツを手渡されたときには驚きましたが、
そのとき、数日前のテレビのニュースで
冬場は血管に負担がかかり、トイレで倒れる年配の方が増えると
注意を呼びかけていたことを思い出しました。
このバイトはそういった事故を防ぐ研究の一つだったのでしょう。

さて、私たちの他に誰もいないその部屋には
洋式便器が幾つか並べられており、
彼と私はボ−ルペンを片手に、
便座の心地が良いか、冷たくないか、など
実際に座りながら気づいたことを
アンケ−ト用紙に記入していきました。
一度座って三分経つと社員の方が
便座を取り替え、私たちがその新たな試作品に座る。
これを繰り返すこと約十回。
Tバックにさせられたのはおそらく、
繊細なお尻の感覚を損なわないようにとの配慮からでしょう。

ところで、私から少し離れたところには
便座へ腰を下ろした友人の姿があり、
自分も同じ格好をしていることを考えると
まったく厭になりましたが
冗談はさておき、近頃では部屋全体を暖かくする
トイレ暖房機が販売されているので、
夜、何度もトイレに立たれる方は
一度、検討されてみるのも良いかもしれませんね。


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