山本理さんの「男が語る美容に効く話」

第62回
腰をおろす人、おろさぬ人、そのまた席を譲らぬ人

電車は不特定多数の人が集まるので、
世間の覗き窓としては恰好の場所といえるかもしれません。

その車内で年配の方に席を譲る光景を
以前よりもよく見かけるようになったことも
高齢化社会を実感する一つです。
しかし、席を譲ろうとする人に対して
「いや、もうすぐ降りるから」と言って断る方もおられます。
実のところ、私は二十歳くらいまで
年配の方のそういった突っ慳貪な態度を見ると
「人の好意をゴミ箱に捨てるなんて。可愛気のない人だなあ」
と思っていました。
その見方が少し変わったのは座らない方が結構多いからです。
私の見るところ、
席に座ることを選ぶ方とそうでない方の割合は
七対三くらいでしょうか。

漸く私がこのことに気づくと、今度は
「オレは年を食っているからといって弱ってはいないんだ」とか、
「まったく、最近のモンはなっとらん」
という、年配の方の専売特許である独り言までもが
聞こえるように思えてきたのですから不思議です。
なかには、無下に断るのも悪いと思って
感謝したフリをして座る方もおられるでしょうし、
実際、席を譲られて
どれだけの方が喜んでおられるのかわかりません。
ひょっとすると、
人を見かけで判断する人たちのやることは
ありがた迷惑で、善意の訪問販売に過ぎないのかもしれません。

そうはいうものの、
頑なまでに断る方はやはり、大人気なく見えます。
実際にはご本人が心の中でどう思っておられても
先ほど少し触れたように
「ありがとう」と言ってそのまま席に着くのがスマートで、
「座るより立っているほうが却って膝が楽だから」
と言って断るのが次善手でしょう。
そう考えるようになった私は
見るからに疲れているように見える方は兎も角、
年配の方だからといって、
席を譲ることには躊躇してしまいます。
なぜなら、元気がないと
電車に乗って外へ出かけることは
なかなか難しいですものね。


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