山本理さんの「男が語る美容に効く話」

第63回
電車には乗らぬより乗るほうがいい

ある研究によれば、人は百二十五歳まで生きられるそうですが、
長生きしても生まれたときから変わらないものといえば
親子の関係であり、
また、人生の途中で手にするものといえば夫婦の関係でしょう。
これまた電車で見かけた光景ですが、
私がこんな親子、こんな夫婦っていいなあ、
と思った方たちがおられました。

前者については、
吊革を握っていた私の目の前に座っておられた
親子の会話を聞いていて、そう思いました。
母親が「もう、外は暗いから気をつけや」と言えば、
「わかってる」と答えるご婦人。
これが八十代後半のおばあさんと
六十代の上品なおばさんだといえば、
「ああ、そうか」と思われるのか、
「ヘエー」と受け取られるのかは、
読者の皆さんの年齢によるのかもしれません。
本当は年をとっているおばあさんのほうが
心配されなきゃいけないのに、
ご自分は子供のことを気にかけているのですから、
親にしてみれば、子供はいつでも子供なんですね。
その後、おばさんが電車を降りて、
駅のホームから階段へその姿が消えていくまで
おばあさんはずっと見ておられたのですから、
私は軽いパンチを喰らったような気がしました。

そして、後者については
ホームのベンチに座っておられた七十代後半のご夫婦です。
電車はまだかな?といった様子の奥様が
席を立って時刻表を確かめようとされたのを見て、
まあいいじゃないかと、ご婦人の提げておられたバッグの紐を
ご主人が静かに引っ張られました。
すると、奥様は何もなかったかのように、
またおじいさんの隣に座られました。
この間、ご夫婦の会話はありませんでしたが、
やがて、しばらくしてからお二人はお喋りを始めました。
向かいのホームからそれを見ていた私は
こういうお二人っていいなあ、と思いました。

私の覗き見趣味が過ぎるかもしれませんが
いろいろな人を観察できるのですから
電車には乗らぬより乗るほうがいいですよね。


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