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          第72回 
          本籍地は男、現在地は女の人 
         今、若い男が美容室に通ったり、男性用化粧品が売れるのも 
          珍しいことではない状況を見て 
          男の女性化が始まっていると言う人もいます。 
          確かに化粧品売り場に足を運ぶ人が 
          自衛隊に入隊しているとはちょっと考えにくいことですが、 
          今と昔を比べてどちらの時代の男が男らしかったのか 
          後世の歴史家は判断に迷うかもしれません。 
        たとえば、戦国時代に遡ってみると 
          織田信長と森蘭丸との関係は有名ですし、 
          伊達政宗が五十歳を過ぎてから書いた恋文なども 
          その相手は若い男だったそうですから、 
          その点だけ見ると、今の私たちの感覚からすれば 
          男のなかのリーダーであった彼らのほうが 
          より女らしかったということになります。 
          オスにはメスを求める遺伝子が組み込まれている筈なのに 
          戦いに明け暮れていたときに 
          男と男のラブゲ−ムがあったとは興味深いことですね。 
          そういえば、仏門の世界にも男色に耽るお坊さんはおられると 
          どこかで聞いたことがあるので、 
          周囲に女性がいないと 
          男にハシる男がいるということなのでしょうか。 
        ところで、日本ばかりでなく、 
          自ら男と女のグレーゾーンに足を踏み入れる人は 
          どこの国にもいるようです。 
          中国で活躍した宦官などは 
          声は女性のように高く、性格も穏やかで、 
          また、体も丸みをおび、髭も生えなかったそうですから、 
          会社の上司に勧めてみたいと 
          思う方もおられるかもしれませんね。 
        しかし、一般的には 
          髪が矢鱈と長かったり、眉の形を整えている男の子など、 
          カッコいいことよりもキレイでありたいと願っているようで、 
          第二の宦官や信長になりかねないと思われても仕方ないし、 
          同性の男から軽薄に見られることも 
          多いように思います。 
          もちろん、キレイになろうと 
          一時的にうつつをぬかす程度なら 
          若気の至りとして許されるとしても、 
          男の道を外れて迷子になると 
          今度は女性に相手にされなくなるので 
          結局のところ、 
          オシャレするにも、ほどほどがいいということではないでしょうか? 
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