第54回
「投資家」改め「一人のばあさん」
M・Yさんメールのご紹介、ご好評を頂き、嬉しいですね。
ところで、とちりの山崎、つい筆が滑って
「明治生まれの女性投資家」と書いたものの、
母の実像とは、あまりに違いました。
ここに「ひとりのばあさん」の一節があります。
このばあさん、ちょっと風変わりな個性の持ち主。
若い頃から、これと思ったら、
何事も自分の頭で考え、それを実行してきた。
明治生まれの女としては、珍しい人である。
「正しい願いは必ず叶う」というのが、彼女の口癖である。
「いくらエエこと知つとったって、
やらんば知らんと同じことタイ」
ウチでは九州・博多ことば。
九州の港町育ち、キップがいい。
若い人を励ますのが好き。
戦前のこと、日曜になると、
地方出身の学生が「おばさん、おばさん」とやってくる。
何をするにも多少の金が要る。
よしきた。自分で作ろう。株を始めた。
思い切りが良いから、ほどほどに儲かる。
その金は、人を喜ばせることに使う。
ばあさんの好きな「静香詩」
「人を喜ばす」、貴きことなり
喜びは勇を生む
喜びは喜びを生む
「人を喜ばす」
実に大事業なり
「金は天下の回りモノ」といい
「必要な時、必要なだけ与えられる」と信じているから、
物惜しみしない。
そして80歳を超えてかつての張り切りばあさんも、
ようやく枯れた心境に入ってきた。
そして「あたしは世界一のしあわせ者」をくり返す。
その母に、銀行渋谷支店での邱永漢先生との出会いを話したら
「おや、直木賞取った、あの先生かい?」
文学好きの母は、「小説・香港」を読んでいました。
昭和30年度下期の受賞作です。
1955年、今から50年まえ、
母は『邱永漢』先生の名を知っていたのです、
山崎にとって何よりも嬉しいことでした。
ですから、女性投資家?の母は、
その後のQ先生の著作から、
多くのヒントを頂いたことでしょう。
いま、こうして、三男坊きよしが、
Q先生のホームページに書かせて頂いていることを、
天国の母は、どんな気持ちで眺めていることでしょうか。
|