第70回
岩崎恭子・金メダル《本気》秘話
バルセロナ五輪女子200メーター平泳ぎ優勝、
直後のインタビューに答えて
「いままで生きてきた中で一番幸せです」と語って、
一躍有名になった14歳の少女は、
たちまちバッシングを受け、口を噤んでしまいました。
日本で優勝経験なし、2位の選手が、ナゼ世界一になれたのか、
とスポーツ界七不思議のひとつに取り上げられました。
その後の世界選手権落選、次のアトランタ五輪での実績など、
逆風が吹きました。
やっと、8年後、月刊文春《オリンピック主役秘話》で
当時の状況を語ってくれました。
オリンピック合宿の最初の頃は、体がすごく辛かったし、
自分がやっていけるか、精神的にもすごく不安でした。
泣きながら必死に練習しました。
自分でやらなきゃと、本気になり、
素直にコーチの注意を受け入れました。
あの時は本当に必死だったんだなあと思います。
私はレースで手を抜いたことは一度もありません。
日本でも必死で泳がないと、決勝に残れなかったし。
予選の時、となりのコースがアニタ・ノール
(米国、金メダル最有力候補)でした。
私のベストタイムと6秒もの差がある選手です。
必死で泳いで自己ベストが出て結果は一位、
自分でもビックリしました。
それでも、決勝で勝てるとは思いませんでした。
決勝も前半は焦らないで、
自分のペースで泳ごうと思っていただけです。
すると、予選の時と同じで、後半すごく気持ちよかったんです。
いつも後半は、体全体が重くなるのに。
それが全く疲れがなくて、水をしっかり掴んで掻いている。
水が味方になってくれたような感じがあって。
泳いでいて初めて感じる気持ちのよさでした。
アノ感じはバルセロナの予選・決勝の二回だけでした
あのバルセロナのレースだけは、何度ビデオを見ても、
自分が泳いでいるとは、どうしても思えないのです。
この恭子さんの談話には「本気」と「必死で」
という言葉が数回出てきました。
本気ですれば大抵なことはできる
本気でやっていると誰かが助けてくれる
また「水が味方になってくれました」とありましたね。
「本気でやったから」、「水が助けてくれた」のですね。
その後の恭子さんは、
知的障害者向けスポーツトレーニングの指導、
最近のテレビではスポーツ解説者として、
明るい笑顔で活躍されています。
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